ドラマ『99.9 刑事専門弁護士』を観た。
例によってけんちゃんが面白いと教えてくれた。
とても面白かった。けんちゃんはいつもいい仕事をする。
「有罪率99.9%という刑事裁判を専門とする弁護師たちの物語」であり、当然主たるテーマはこの高い数字の不自然さ、異常性、その原因である検察の腐敗を描いているのだけれど、僕にはもう一つのテーマが隠されているように見える。このテーマが僕には優れて現代的に思えて、それがとても面白かった。
主人公である深山たちは斑目法律事務所に新設された刑事弁護専門チームに所属している。と一口に言ってしまえるほど実はこの「チーム」、普通ではない。深山はもちろんその上司にあたる佐田も立花という同僚も、言ってみればいわゆるチームプレイはしない。佐田が馬主でもあるほど競馬好きなことを比喩に、チームメンバーは競馬馬に喩えられることが多いが、この馬たち、常にそれぞれまったく別々の方向を目指して走っている。あるいはお互いに競っている。
中でも「僕は事実が知りたいんだ」という深山は「依頼人の利益などどうでもいい」と言い捨て、逆に「依頼人の利益こそ最優先すべきだ。事実などどうでもいい」という佐田と終始衝突し続ける。佐田役の香川照之は僕の好きな役者だけれど、今回もとてもいい。深山に対するイラツキを隠さない佐田の演技は絶品だ。この演技のお陰で、このチームがいかに一般に言われる「チーム」や「仲間」というもののあり方からズレているかが描けている。
この「佐田ファーム(馬主であることから)」に対して、敵役の検察はどう描かれているか。組織として一体であり、一丸となって「正義」を貫くという看板を掲げてはいるが、内部的には上司の顔色を伺い続けた挙句事実を捻じ曲げ、冤罪被害者を生み出している。検察チームメンバーたちの関心は事件そのものよりもドロドロした人間関係に集中し腐心し続けているように見える。その結果、組織も腐敗している。
つまり「チーム」や「仲間」というものの描き方が正反対になっているのだ。
そして、有利な立場にもかかわらず、組織を挙げて一丸となっている検察チームは、それぞれがバラバラに走り回る佐田ファームに負け続ける。
このドラマの制作者が設定したもう一つのテーマはここだと思う。
チームとはいったい何か。
仲間とはいったい何か。
この着眼点が優れて現代的だと思う。言うまでもなく、組織や仲間内、ひいては社会の中で他人の顔色を伺い続け汲々とせざるを得ない「絆社会」の姿を鋭く描いているように僕には思える。
馬だけに絆とは、うまいね。エヘッ、エヘヘ。
例によってけんちゃんが面白いと教えてくれた。
とても面白かった。けんちゃんはいつもいい仕事をする。
「有罪率99.9%という刑事裁判を専門とする弁護師たちの物語」であり、当然主たるテーマはこの高い数字の不自然さ、異常性、その原因である検察の腐敗を描いているのだけれど、僕にはもう一つのテーマが隠されているように見える。このテーマが僕には優れて現代的に思えて、それがとても面白かった。
主人公である深山たちは斑目法律事務所に新設された刑事弁護専門チームに所属している。と一口に言ってしまえるほど実はこの「チーム」、普通ではない。深山はもちろんその上司にあたる佐田も立花という同僚も、言ってみればいわゆるチームプレイはしない。佐田が馬主でもあるほど競馬好きなことを比喩に、チームメンバーは競馬馬に喩えられることが多いが、この馬たち、常にそれぞれまったく別々の方向を目指して走っている。あるいはお互いに競っている。
中でも「僕は事実が知りたいんだ」という深山は「依頼人の利益などどうでもいい」と言い捨て、逆に「依頼人の利益こそ最優先すべきだ。事実などどうでもいい」という佐田と終始衝突し続ける。佐田役の香川照之は僕の好きな役者だけれど、今回もとてもいい。深山に対するイラツキを隠さない佐田の演技は絶品だ。この演技のお陰で、このチームがいかに一般に言われる「チーム」や「仲間」というもののあり方からズレているかが描けている。
この「佐田ファーム(馬主であることから)」に対して、敵役の検察はどう描かれているか。組織として一体であり、一丸となって「正義」を貫くという看板を掲げてはいるが、内部的には上司の顔色を伺い続けた挙句事実を捻じ曲げ、冤罪被害者を生み出している。検察チームメンバーたちの関心は事件そのものよりもドロドロした人間関係に集中し腐心し続けているように見える。その結果、組織も腐敗している。
つまり「チーム」や「仲間」というものの描き方が正反対になっているのだ。
そして、有利な立場にもかかわらず、組織を挙げて一丸となっている検察チームは、それぞれがバラバラに走り回る佐田ファームに負け続ける。
このドラマの制作者が設定したもう一つのテーマはここだと思う。
チームとはいったい何か。
仲間とはいったい何か。
この着眼点が優れて現代的だと思う。言うまでもなく、組織や仲間内、ひいては社会の中で他人の顔色を伺い続け汲々とせざるを得ない「絆社会」の姿を鋭く描いているように僕には思える。
「絆(きずな、きづな)は、本来は、犬・馬・鷹などの家畜を、通りがかりの立木につないでおくための綱。しがらみ、呪縛、束縛の意味に使われていた。」(ウィキペディア)
馬だけに絆とは、うまいね。エヘッ、エヘヘ。
5点。
制作者はたぶんこう言いたいのではないだろうか。
チームや仲間、組織、社会、そういったものは本当は佐田ファームのようであってもいいのではないか。それぞれがそれぞれの利益を求め、100人いたら100通りある別々の信念を追い、ただ自分自身を使って一つひとつのことを確かめていく。仲間やチームや組織を接合させる人と人との絆の強さを前提にするのではなく、全く異なった一人ひとりの人間自体を前提としそれらが触れ合うことで成立するチームや仲間だってあるのだ。そういうチームや仲間こそが本当なんじゃないの。何よりそっちの方が強かったりするんだよね。
制作者はたぶんこう言いたいのではないだろうか。
チームや仲間、組織、社会、そういったものは本当は佐田ファームのようであってもいいのではないか。それぞれがそれぞれの利益を求め、100人いたら100通りある別々の信念を追い、ただ自分自身を使って一つひとつのことを確かめていく。仲間やチームや組織を接合させる人と人との絆の強さを前提にするのではなく、全く異なった一人ひとりの人間自体を前提としそれらが触れ合うことで成立するチームや仲間だってあるのだ。そういうチームや仲間こそが本当なんじゃないの。何よりそっちの方が強かったりするんだよね。
と。
いやぁ、とても面白い。
いやぁ、とても面白い。
つうか、痛快? エヘッ、エヘヘ。