July 19, 2021

【813】「言語にとって美とはなにか」ゼミ動画、6月25日開催分

言語美ゼミのダイジェスト動画です。

第Ⅴ章「構成論」の中の第Ⅱ部「物語」。その前は「詩」でした。詩と散文との違いを構成論として吉本隆明は書いています。




今回は、ダイジェスト動画に入り切らなかった「こぼれ話」も動画にしました。


まだまだ見にくかったり聞き取りにくかったりするところもあるかと思いますが、動画の方も少しずつグレードアップさせていきます。ご意見ご感想があればぜひコメントお願いします。

July 15, 2021

【812】まるネコ堂ギャラリー、『我が家の北向きの裏庭』今井雅子さんの展示中です。

まるネコ堂1階の工房に作品展示をして「まるネコ堂ギャラリー」としています。

常設展示は2ヶ月おきに展示替えをしています。6月・7月は今井雅子さんの『我が家の北向きの裏庭』の展示中です。

絵画というか、布に描いてある絵なのですが、壁にかけて展示しています。

展示の詳しい説明は、大谷美緒のブログを御覧ください。

https://mio-aqui.blogspot.com/2021/06/blog-post_29.html


作者自身によるステートメントにある、

なかなか手をつけられないものの、気になるこの庭のことを作品の題材にすることで、腰を据えて関われそうな気がしました。

 という部分が面白いなと思います。

表現というのは、趣味的で、非現実的、非生活的なものではなくて、とても切実なものだと僕は思います。少なくとも「自分にとって」は切実です。この作品はそんな切実さから生まれているのだと思うと、いろいろと興味深く見ることができます。

作品上部、いろいろな形の屋根がひしめき合っているのを俯瞰で描いている部分と、その下にある「イタチ」や植物との関連はどういうことなのか。あるいは、屋根を俯瞰で見ているということがどういう気分なのか、などなど。

ギャラリーは10時頃から16時ぐらいまででしたら、だいたいいつでも「開店」状態で、僕か美緒がいることが多いですが、留守にしている場合がありますので、遠方より来て頂く場合は、事前にご連絡いただくほうが良いと思います。

8月29日の展示最終日は、今井雅子さんも在廊予定です。ぜひ、足をお運びください。

■会場
まるネコ堂(京都府宇治市)

■会期
2021年7月1日(木)〜8月29日(日)
   
■時間
平日10:00ー16:00は通常空いていますが、
不在や催しのため対応できない場合がありますので、ご連絡の上お越しください。
土日祝も可能な場合がありますのでお問合ください。

■今井雅子さん在廊日
8月29日(日)10:30ー16:00
※お申込不要でお越しいただけますが、人数把握などのためご連絡いただけるとありがたいです。

■申込・連絡先
mio.yamane@gmail.com (大谷美緒)


今井雅子さんのステートメント

 我が家にはリノベーションした際、建ぺい率の関係で生まれた北向きの裏庭があります。広さは三畳分くらいです。京都市内の住宅が密集した地域のため、隣家の壁に挟まれています。
 庭らしく整えたいと思い、大雑把ながら土壌改良して、園芸品種の花の種を播いたりしましたが、芽は出ず、元々自生していたシダがぐんぐん伸びただけでした。そのまま持て余していたら、ある年の夏にはイタチが2匹現れるようになって、あたふたしました。
 なかなか手をつけられないものの、気になるこの庭のことを作品の題材にすることで、腰を据えて関われそうな気がしました。
 2020年10月から2021年5月にかけて、庭の移ろいを丁寧に眺めました。
 気付いたことは、この庭が秋の終わりから春の始めにかけて思いの外、植物の緑鮮やかな空間になるということでした。街に緑が少なくなる寒い時期に、この庭の生き生きした植物の存在は、嬉しいものでした。シダが枯れて広くなった空間に次は背丈の低い植物が葉を広げる。そんな移り変わりが次から次へと続くのでした。
 この作品には、庭がリノベーションによって生まれた2016年から2021年5月までが描かれています。             

2021年6月23日 今井 雅子

July 4, 2021

【811】うまれてはじめて立ち上がって拍手した。

『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』

演劇というか能なのだけど、人間にはこんなことができるのかと圧倒されてしまった。言葉と音楽と歌と踊りと美術とあともっと色々とで、人間はこんなことができるのか。

以下、昨日観て、家に帰ってきて、とりあえず日記に書き込んでおいたこと。

▼敦賀はとくに、衝撃が大きかった。原発の問題。夢がしつこく語られた。夢が夢でなくなる。あるいは、夢が夢になる。夢という言葉の意味が変わる。夢で「糖衣のように」くるんでしまう。そういうことは僕が言いたかったことではなかったか。それを全部言われたような気になってしまう。

▼センシティブな問題をやるときに、それがセンシティブであればあるほど、思い切りやらないといけない。腰が引けた分だけ、外側に弾かれた感じになる。表現者が問題に対して弱者の位置に立つと、表現ではなくなる。「これは事実を描いているだけなんですよ」というエクスキューズが、「だからこれは自分の表現ではないのだ」というふうに防波堤を作って、自己を問題の外側に押し出してしまう。結果的に表現者が自分で表現を見切ってしまう。「私の表現なんかよりも現実を見てください」と。この演劇はそういうところがなかった。その問題の中心を内部からやっているように見えた。それそのもののように見えた。とても大きく難しい問題を扱っているのにこれができるのがすごい。

▼演技やダンスもよかったが、音楽も歌も素晴らしかった。特に歌がよかった。もうストレートすぎて、パロディに見えてくる瞬間もあるが、それでも作品から離れたような気になることがなかった。どれほど滑稽に見えようともそれを上回る情況の力があった。その情況が圧倒的に存在感を持っている。登場人物への感情移入の必要はなく、そこで観ているだけで、もう、巻き込まれている。

観に行ってよかった。

追記
影アナ(場内アナウンス)の文体がすっきりしていて、あれっと思った。男性の声だったが、僕には岡田利規さんの声に聞こえたし、文章も彼が書いている(リライトしている)ように思えた。後でネットで検索してみたところ、僕と同じ感想をツイートしている人を一人だけ見つけることができた。その人は、日付から横浜での公演を観ていた。だとしたら、横浜と兵庫という別の劇場で同じ声が流れたということになる。あれはやはり岡田利規さんなのではないか。気のせいかもしれない。

July 2, 2021

【810】「エチカ」ゼミの動画アップしました。

講読ゼミはほんとに面白くて、毎回楽しんでいます。難しそうなことを言ってるように聞こえるかもしれませんが、全然そんなことはないです。興味ある方ぜひ一度どうぞ。

▼「エチカ」ゼミ第1回 前半


▼「エチカ」ゼミ第1回 後半


動画編集は大谷美緒です。


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■近々開催のまるネコ堂の催し
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●第2回まるネコ堂芸術祭・出展者募集
https://www.notion.so/f9ec7fa68c5445899a319a7afe09c6a0

●リクエスト開催:文章筋トレ 
「やってみたい」というリクエストによって日程を決めていきます。
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_26.html

●スピノザ『エチカ』ゼミ(全24回)
https://marunekodosemi.blogspot.com/2021/02/35.html

●吉本隆明『言語にとって美とはなにか』ゼミ(全13回)
大谷美緒主催
https://marunekodosemi.blogspot.com/2020/07/34.html

●文章面談
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_20.html


●雑誌『言語』(5、6、7号、在庫僅か)
https://gengoweb.jimdofree.com/