September 30, 2020

【748】9月30日の文章筋トレ

3人で、10分と1時間10分をやる。

気持ちの良い季節。天気も気温も湿度も風速も申し分ない。あまりに気持ちが良すぎて1時間10分は書けなくなりそうだった。眠くなる。

曲りなりにも催しをやっているのだから寝てはいけないというようなことは思わなかった。書けなくても、それで良いと思った。書けないことがマイナスだとも思わなかった。書くための時間であることも、この気持ち良い時間の一つの要素だと思った。僕が書けなくても他の人は書いている。そういうことが幸せな気分だった。書くための時間だったが書けなくても十分に素晴らしいと思っていた。眠くなった。

その上で、あえてこの状況で書くとしたらどうなるのか。そういうことをやってみたくなった。眠気を抑えるのではなく、眠たく幸福な気分のまま、書く。どうやればよいのか。

とりあえず眠たい自分をそのままにしておいて、その自分を含めて書くというようなことを考えてみた。自分のなかで何かを立ち上げるような書き方ではなく、自分から滑り出ていくような感じで書けないだろうか。書くことによってそれが可能になるようなことはできないだろうか。

結局、A4一枚分ほど書けた。面白く書けた。書かれた内容が面白いという以前に書いているときの自分から乖離していく感じが面白かった。書かれた内容もちょっと変な感じで、僕としてはそこそこ面白かった。書いているというその状態自体が面白くなるように書けたのがなにより面白かった。


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■近々開催のまるネコ堂の催し
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●12月15日から21日:言葉の表出、冬合宿2020
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●定期:文章筋トレ
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大谷美緒主催
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September 29, 2020

【747】9月27日の芸術祭ミーティング

 2回目のミーティングが日曜日にあった。出展者(実行委員含む)8人全員がZOOMで集まる。1回目のミーティングもそうだけれど、これぐらいの人数で全員がすんなり集まること自体に新鮮な感じがある。

 例によって決めることはほとんどない。連絡事項がいくつかあるぐらいで、それもすぐに終わる。残った時間でなんとなく話す。僕は途中で昼寝から起きてしまったアラタの面倒を見ながらスピーカーから聞こえる音を聞く。こんなゆるい雰囲気でなにかをやる、なにかができる、ということが不思議な気がしてくるが、これでいい。経験上、一番良い結果がでる。

 今回のミーティングで心に残った言葉は、芸術祭ページに掲載する各自のプロフィールについてで「私はプロフィールがないので、この芸術祭でそれを作ることにしました」というようなことを言われた方がいた。ハッとした。

 プロフィールというのは、厄介で、どう書いてもそれで自分がぴったりと指し示されているような感じはしない。「自分とは、なにか」に答えられている確信は、どこまでもない。求められるたびに落ち着かない気になる。

 しかし、単純に考えてみれば、自分がこれまでやったことややったとされていることが、自分の「輪郭・外形(plofile)」として示すということなのではないか。だとしたら、これからやることによって、輪郭・外形が作られたり、作り変えられていくとも言い得る。

 そういうシンプルなことなのではないか。「自分はなにをしてきたか、あるいは、しているか、そして、するか」。その輪郭・外形。その横顔。シンプルだけど、日々の自分に突きつけてくるようなところもある。再び、ハッとした。プロフィール自体もその人の一つの表現なのだと思う。

 近日中に第0.5回芸術祭のタイムテーブルを公開予定です。



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September 28, 2020

【746】『中動態の世界』ゼミ、終了。

 9月26日土曜日。國分功一郎著『中動態の世界』の講読ゼミが終了した。全9回。毎月1章ずつ読んで9ヶ月かかった。参加者は4人。それぞれに何かが生じたのではと思う。

 今回のゼミをやるにあたって、僕は、僕なりの目標を持っていた。

 「レジュメを文章として面白く読めるようにする」というものだ。最終回に成ってようやく、それなりに面白くかけたと言い得るぐらいにはなった(よろしければぜひお読みください)。他の参加者にもおもしろいと思ってもらえたのはとてもうれしい(山野カエル「最後のゼミへ向かう夜に」)。

 自分なりの負荷を掛けたことで、読むことにも影響があった。いつもより本に対して揺さぶりを掛けて読んだ感じがする。そのぶん、危うい読解をしたと思う。誤読もあるだろう。それがレジュメに出てしまっているかもしれない。でも、危険を犯しただけのことはあって、読むことがまた広がった。とてもスリリングだった。

 最終回の第9章は本当に面白く読めた。すでに書かれてしまっているはずの文章が少しほどけて、その間を魚のように縫って泳ぐ感じがあった。すでに書かれてしまっている文章なのに、読んでいるまさにその瞬間に新しく書かれていくかのような感覚だった。この本は何度か通読はしていて、どんなことが書かれていたかは、すでに知っている。それなのに、今まさに新たに書かれ直していくように読めた。読むことで書かれていく。得難い経験だった。

 読み終えた今は、別の本になってしまったかのような重厚さを感じる。

 ゼミはそれなりに疲れる。月一回、一章分読むだけ。なのに疲れる。ゆっくり読むことは、長い時間その本に付き合うことだ。ささっと読んで生じるイメージは間違っているわけではないが、ゆっくり読んでいくとイメージが重層化していく。

 良い本は玄米のようなものだ。玄米はよく噛んで食べると味が変わるし、消化にも良い。それと似ている。白米は噛まずに飲み込んでもそれなりに消化できるし、食味もわかりやすいが、その分予め失われているものがある。玄米を飲み込むように食べることもできるが消化できなかった部分がそのまま出てくる。そこで諦めずにもう一度よく咀嚼して食べるとより深く消化できると続けたかったが、この比喩ではやめておいたほうが良さそうだ。



 参加者全員のレジュメをまるネコ堂ゼミのサイトで公開しています。
 まるネコ堂ゼミ:國分功一郎『中動態の世界』

 山根美緒主催の『言語にとって美とはなにか』ゼミ、10月からはじまります。参加者募集中です。よろしければ。




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September 23, 2020

【745】9月19日の文章筋トレ。

参加者5人、うち一人途中退出。会場参加が3人。

10分と60分をやる。

改めて書くと、文章筋トレというのは文章を「筋トレ」という比喩で捉えてやってみたらどうなるかという試みだ。これまでのところわかってきたのは「筋肉」としての比喩が通じる範囲でなにかしらの筋力は増強される。

この筋肉としての比喩が通じる範囲というところが具体的にどのような範囲なのか。少なくとも「言葉の正確な選び方」や「文章のわかりやすさ」「イメージのしやすさ」と言った「外形(シェイプ)」にとどまるようなものではない。

では、なにが「筋肉」なのか。どれぐらいの深度を持つのか。

書くというときにそもそもどんな「筋肉」が必要なのだろう。

たとえば、書きたいと思っている何かを書こうとするときにどんな「筋肉」が必要なのだろうか。いや、それ以上に、そもそも書きたいと思うためにはどんな「筋肉」が必要なのだろうか。こういったこと自体がむしろ鍛えられている気がする。

褒められたくて、報酬が得たくて、書くのであれば、こういった筋力は必要ない。正確には筋力の比喩が必要ない。どうすれば評価されるかという情報収集とそのアウトプットの仕方の方がむしろ重要で、効果がある。書くことそのものは自明で、書くことを疑う必要が無いほうが情報収集とその加工に集中できる。書くことそのものへの筋力などという比喩で、その前提的存在を露出させるのは逆効果だ。疑わずにやるほうが「経済的」だ。

そうではなく、逆説的ではあるが「たんに書くということはどういうことか」「なぜ書くのか」という「疑い」を持ちつつ書くためにはどんな筋肉がいるのか。その筋肉が鍛えられていく。

書くという態勢を自らで保つために必要な筋肉がまず必要だ。そういうものがまず鍛えられる。これは必ずしも文字数などでカウントできるものではないし、書かれた言葉の良し悪しによって短絡的に評価できるものでもない。評価によって書くというのは報酬によって書くことと同じだ。

理由は明瞭ではないのに、この文章はなんだか、なにかあるなと思うような文章は、そういった書くことの前提としての態勢を保つ(保留する)筋力があるのではないか。そこに保たれている姿勢から読み手は何かを受け取るのではないか。

態勢を保つというのはもちろん地面に固定するようなものではなく、その地面その地面に応じて自分の全体の筋肉をバランスさせることが必要だ。特定の筋肉というよりは筋肉と骨格の連携のことだ。書くことにとどまらない表現全般にまで拡張できるような、「まさにその状況」に留まる体全体の有り様のことだ。それによって、まさにその、表され現されるまで保つことを自らに求め続けるその状況そのものに留まることができる。破滅と幸福とが混交したその状況に。


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September 16, 2020

【744】9月16日の文章筋トレ

今日は参加者なし。どうしようかなと思う。記憶ではこれまで参加者のいなかった回はなかったと思う。

一人でやることもできる。あるいは今、少しずつ書いている文章の続きを書く時間にすることもできる。A4のコピー用紙を横置きにして、縦書きで書いている。一回で1時間ぐらい、書ける分だけ書いたら、その日は終わりにして、次の機会にまた、新しい真っ白なコピー用紙に書き始める。毎回、再起動させる。一回に数枚ぐらい。一応モチーフと言うかテーマと言うか、そういうものはあるけれど、たぶん何よりも、この毎回いちいち真っ白な紙に向かうために力を使っているということがこの文章を規定していくような気がする。それの続きをやろうかと思っていたが、結局休むことにした。


ちょっと疲れが溜まっている。毎日大したことをやっているわけではない。ただ、放っておくと全く休まずに考え事をして本を読んで文章を書いてとやり続けてしまう。

横になる。少し休めた。

午後は『中動態の世界』ゼミのレジュメ作成をする予定。次が最終回。9ヶ月かけて読んだだけのことはあったと思う本だ。本はゆっくり読んだほうがいいが、ゆっくり読める本は少ないし、ゆっくり読むのは力がいる。最終回のゼミが楽しみだ。


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September 10, 2020

【743】文章筋トレ、10月以降の日程を掲載しました。

文章筋トレの10月以降の日程を発表しました。時間帯を午後にして、延長しました。その分価格も変更して、土曜日と合わせています。参加、ご検討くださいませ。

10月
 7日(水)13時30分から17時【3,000円】
 15日(木)13時30分から17時【3,000円】
 17日(土)13時30分から17時【3,000円】

11月12月は、土曜日の日程のみ確定しています。平日は検討中です。

お申し込みは下記ページをご覧ください。

●文章筋トレ
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_26.html


September 3, 2020

【742】孤独な共同作業。

 乱れた文章を書いてくれたらいいと言われているような気がする。時間さえ貰えれば直しはする。それなりに落ち着けるところに落ち着けてやれる。そのかわり、つまらないのは読ませるなよと釘を刺されている。そういうところは我ながら容赦ない。心地よい緊張関係のために全力を出しておく。考えることの面白さを堪能し、読むことの面白さを堪能し、直すことの面白さを堪能する。


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隔週の水曜午前、月一回の土曜午後
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September 2, 2020

【741】9月2日の文章筋トレ。

朝はかなり涼しくなった。カエルさん、美緒、僕の3人でやる。10分と60分。

10分が良かったと10分が終わったときにカエルさんが言った。僕も10分が良かったと思った。60分が終わると、60分が良かった。

文章筋トレという名前をつけてやっていることは、筋トレのように文章をやってみたらどういうことになるかということだ。文章は筋トレではないとか言うこととは言語的には少しずれた位相にある。言語的には少しずれたことをまさに言語でやっているわけだから、まるで違うことだろう。言語的に何かをやれば、言語的にそれをやっただけのことは起こる。少なくともそれは確認できている。

到達点を捉えてからそこへ向かうというアプローチが取れない水平線の向こう側へ向かうには、こういうやりかたもある。凪の退屈さを動員し、豊かさの嵐へと巻き込まれる。

開始時刻が来た。十分に暑いのでエアコンが元気よく動きだす。


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