買ってしまった。こんな本、新本で買うとは思わなかった。
そもそもヘーゲルは「美学」という本は書いていなくて、講義として「美学」をやっていて、その受講者の筆記録をもとに何冊も「美学」はつくられている。この『美学講義』はその中でも初期の講義の筆記録をもとにしているものらしく、特徴としては編者の「歪曲」が少ないらしい。
ともかく、吉本が講演でも話している「自己疎外」について書かれている、はず。
これは芸術の場合で言うと、「自己疎外」という概念を最初に編み出したのはヘーゲルだと思うんですが、ヘーゲルは要するに、人間のある精神の作用があると、人間が精神の作用を行うと途端に、その精神の作用自体の中に、精神の作用をする人間を取り除けてしまう、枠から外してしまうという要素が必ず出てくるというような意味で、「自己疎外」という概念を使っています。(ほぼ日刊イトイ新聞、吉本隆明の183の講演「芸術と疎外」)
人間が何かをしたとき、その途端、その何かがその人間を取り除けてしまう。人間が何かを表現したとき、その表現をした途端、その表現自体が表現をした人間を取り除けてしまう。こういう問題について書かれている。
今、ゼミで読んでいる吉本の『言語にとって美とはなにか』ももちろん、この自己疎外の問題は関連している。吉本は自己疎外に対して、自己表出を見出している。
『美学講義』分厚い本で、読むのが楽しみ。
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