友人の仕事の手伝いでそこに来ている。小学校の体育館らしきその場所は東京より東、たぶん千葉県にある。それほど人口の多くない山間部だと僕は知っている。広い空間に机や棚、椅子、テーブルなどが持ち込まれている。もともとそこにあったというよりは、臨時的に運び込まれたような位置関係で、かなり余裕のある配置でそれらの什器がある。ただ、適当に置かれているわけではなく、一応、必要に応じた区画分けがなされているようだ。体育館だと思うのは、天井の高い広い空間であることに加えて、一つの壁側が一段高くなってステージのようになっているからだ。今、そのステージは使われていないが、ステージのある方向が正面だと自然に感じられるような什器類の配置になっている。僕はそのステージを右前に見る位置にいる。椅子に座っている。特に何かをしなければならない状況にあるわけではない。広い体育館にはかなりの数の人が居て、それぞれに自分の作業をしている。一人で机に向かっている人もいれば、何人かで話をしている人もいる。机や棚などの間を歩き回っている人もいる。のんびりしているわけではなく、急いでいるというわけでもない。ただ、どことなく緊張感は漂っている。ステージの前あたりに応接セットが置かれているのが見える。そこに一人の男がいて、僕は「知事」だと思う。総合的に見て、今起こっているのは、千葉県あたりのどこかの比較的小さな自治体にある小学校の体育館で、災害時を想定した訓練か何かである。僕は特にやることがなく、待機状態でいる。それはこの体育館で予定されている訓練が想定通りに進んでいないからだ。全体的には状況は停滞している。だからといってここにいる全員が何もしていないわけではなく、むしろほとんどの人はなにかの作業をそれぞれで進めている。僕が手伝う予定の僕の友人は、僕の隣に座っているがそれが誰だかはわからない。男性のように思うが女性だと思う瞬間もある。いつまでこの状況なのだろうかとその友人に話をするが、もちろん友人にも答えはない。知事が、別の男に「3日もかかるのか。1日しか予定をとってないからなんとかならないか」と言っているのが聞こえる。この別の男というのがこの訓練全体を取り仕切っている「コンサルタント」だと僕はとらえている。コンサルタントの声は聞こえない。顔も見えない。コンサルタント自身もこの状況をコントロールしていないように感じられる。僕は少し落ち着かない。理由は、僕が直面している大きくてそこそこやっかいな個人的な問題があって、その解決のために、近いうちに西の方へ行かなくてはいけないからだ。西の方というのは、東京と京都の間ぐらいの地図イメージが浮かぶ。そこに、以前からかなり長期に渡って存在している僕の人生を左右するような問題に対する糸口がある。そこへ行かなくてはいけない。この個人的問題も、体育館の訓練と同じように明確でない理由で停滞している。同じようにすっきりとしない。だけどいい加減、そろそろなんとかしなくてはならない。知事と同じく、僕もここで3日は待てそうにない。「3日もかかるのなら、僕はそろそろ行かなくちゃいけない」と友人に話して、僕は椅子から立ち上がった。ところで目が覚めた。
こういう「何かやらなければならないことがあるのだけれど、明確ではない理由で停滞していて落ち着かない」という気分の夢をこの何日か立て続けに見ている気がする。シチュエーションは毎回違っているが、僕の気分や胸騒ぎに近い落ち着かなさは同じだ。
文章筋トレ 30分