ゼミで加藤周一『現代ヨーロッパの精神』が始まる。
この本に収められた論文が書かれたのは1956年から1959年。つまり書名にある「現代」は、今僕らが居る同時代としての〈現代〉ではない。書名の「現代」を別の言葉で言うとしたら「冷戦時代」だ。 この冷戦時代に書かれた「現代論」は果たして〈現代〉に届きうるのか。
もちろん、それは難しい。
たとえば、現在のシリアの状況は、冷戦時代から大きく変化し、複雑な様相を呈している。未だ政...
November 25, 2015
November 18, 2015
【245】「入りきらない人」の時代。
〈現代〉とはどういう時代か。
ということがより鮮明に現象として現れているなと思うことに、アノニマスのISへの宣戦布告がある。「アノニマスが「イスラム国」にサイバー攻撃予告、パリ襲撃受け」ロイター
アノニマスは中心やリーダーを持たない。自分がアノニマスだと思えば、アノニマスである。しかし、アノニマスはこの声明で、自分たちが「legion=軍隊」だとしている。(原文はぼくには理解できないので抜粋された翻訳から)
アノニマスの「攻撃」...
November 17, 2015
【244】「民間人」とは誰か。
「ISへの空爆によって、民間人が死傷した」というような場合の「民間人」は何を示しているのだろう。普通に読むと、ISの「国民」のうち武装していない人、のように読めるけれど、実際にそういう人はいるのだろうか。
ぼくがこの文章を読んで最初に思うことは、この「民間人」は、「ISの実効支配地域に住んでいて武装していない人」という程度のことだ。そして、ここでいう「ISの実効支配地域に住んでいる人」というのは、必ずしもISの「国民」とは限らないの...
November 12, 2015
【243】『おもひでぽろぽろ』
これは名作ではないか。
27歳の主人公の女性が10歳の頃を思い出しながら物語は展開する。「田舎」に憧れ、10歳の頃には存在しなかった「田舎」を自ら作り出していく。
前半は、10歳の自分の記憶は単に感傷的な思い出にすぎない。それが変質するのは、本家で嫁に来ないかとおばあさんに言われたところからで、ここから現実が揺らぎ始める。一旦崩壊を始めた現実は急速に崩れだし、その裂け目から「思い出したくない過去」として封印していた記憶が突如「アベ...
November 9, 2015
【242】下世話に、露骨に。
下世話に、露骨に。
そのうえ、無様で、滑稽で。
円も螺旋も描けずに、
ただただ巻き太っていく
デタラメに巻いたいびつな糸巻き。
時々芯棒がずるりと抜けそうになって、
だらりと垂れ下がった糸の輪を
上から無理やり巻き込んでいく。
膨大な資源を浪費した盛大な堂々巡り。
そういうことを真面目にやってい...
November 8, 2015
【241】最も弱い思想。
もう少しでそれが何かわかりそうと目を開き、それを掴みたいと手を伸ばし、身を乗り出し、踏ん張った途端、その踏ん張ったところが崩落していくのはいつものことだ。盤石だと思っていた現実がウエハースのように砕けていく感触を足の裏で感じる。バランスを崩して倒れこむように自分の足で開けた穴に投げ込まれていく。破片が舞い上がるのを唖然と眺めながら、背後にゆっくりと倒れこみ、前を向いていたはずの視線は、空を向く。ようやく崩落が終わるとき、強く全身が打ち...
November 6, 2015
【240】自己表出の瞬間。言語とは。
ぱーちゃんのブログを読んでぞっとした。
「ぼくにとって書くことや話すこと」
これはまるで僕が書いたのではないか、と思ったからだ。
こういうときに、人間関係に重きをおく人はおそらくこう見立てるだろう。
ぱーちゃんと大谷は友達だ。
これまでにたくさんの言葉を交わした。
特にこういった表現にまつわるようなことについて交換している。
ぱーちゃんの考えが大谷に、
大谷の考えがぱーちゃんに、
相互に影響を与え合っている...
November 5, 2015
【239】〈僕〉と自然。
〈僕〉以外はみんな自然だと思っている。
〈僕〉というのは、「僕が」という時の最初の意識のまとまりとしての自己で、大谷という人間を指しているわけではなく、単に「僕が」と書き始める時の〈僕〉のこと。
自分の体も自然の一部だし、他人も自然の一部で、
庭の草や木や石とかわらない。
それぞれがそれぞれの特性をもった自然。
晴れている日は洗濯物が乾きやすい。
雨の日は洗濯物が乾きにくい。
洗濯物は乾いてほしいことが多いので、
だいたい晴れてい...