【549】読む仕事。
物心ついたときから読むのが好きだった。本を沢山たくさん読んだ。だからいつか物書きになれたらと思っていた。物書きと呼べる仕事をやっていた時期もあった。でも続けていくのは難しかった。僕の仕事は読むことなのかもしれない。書くという憧れを残したまま、読み続けることなのかもしれない。さびしさや切なさもあるけれど、納得もできる。読むことが好きだったのだから、その好きなことが仕事になるのはよいことなのだ。それは間違いない。こんなに幸福なことはない。しかしそれでもどこかで書きたいと思っている。これは一体何なのだろう。僕の適正にも能力にも才能にも合わないだろうに、それでもまだ書きたいと思っている。たぶん、そう思っている間は読む仕事ができるのではないかとも思う。読む仕事をやる、書きたいと思いながら。