新が8月1日から保育園に通い始めた。最初は慣らし保育。1時間から始める。8時半から9時半。僕がさっき連れて行ったと思ったら、すぐに澪が迎えに行く時間。
とはいえ、今日で慣らし保育も3日目。1時間半にまでのびた。これぐらいになると、ちょっと気分が変わってくる。一日1時間半。子供のことを頭の片隅にも置かなくて良い時間。
ちょうど言葉の表出合宿中もあって、久しぶりにまとまった文章を書こうとあれこれと文字をコネコネやってみる。やっぱり、楽しい。文章を書くことは楽しいことだと思う。必要に迫られているわけではない文章を書くことは、純粋に僕だけの時間だ。とても貴重で楽しくて面白い、どこまでもやっていける。
このまま新の保育時間が伸びて夕方までこういう時間が続くようになるのかと思うと、それだけでとても贅沢な気分になる。
その分、新は毎日頑張っている。今日はプールに入ったらしい。おやつのりんごも食べたらしい。初日はおやつも食べなかったし、水にも口をつけなかったらしい。今日、帰ってくるとしばらく甘えっ子になっていて、いっぱい抱っこしてやる。そうするととても機嫌が良くなって、ふらつきながらも一人で立ってみせる。クラスの他の子はみんな新より月齢がいっているから、たぶんもう立ったり歩いたりしたりしているのだろう。それをじっと見ていたのだろう。
それと、一人でおもちゃで遊ぶこともできるようになってきた。そうして一人で遊んでいて、ふいに僕や澪を見つけると顔を見ただけでにっこり笑ったりもする。僕も澪もいない僕たちとは異なった場所に一人でいる時間があるということを、新は知ってしまった。それは新が自分だけの世界の扉を開けたことになるのだと思う。
僕も少し慣れてきた。僕に物音が聞こえてこないところに新がいる時間があることに。