9ヶ月に入った子供は毎日毎日飽きることなく、つかまり立ちをやっている。低い机だと、そのまま上にお腹で登ってしまったりする。手を伝わせて、伝い歩きらしいものまでやっている。とにかく、ずっとそういうことをやっている。つい数週間前に、生まれたばかりの子鹿みたいに脚をガクガクさせながら、ようやくつかまり立ちして以来やっている。
最近では、かなり長時間、10分以上は立ったままでいられるようになった。筋力がついてきたのだと思う。こんなに短期間でできることが増えていくというのは、そうとうなペースで筋肉肥大が起こっているはずで、筋肉痛もひどいのではと思うけれど、まったくそういう素振りは見せない。ニコニコしながらやっている。乳児には筋肉痛はないのだろうか。
とにかく、そうやって毎日毎日、飽きるどころか、毎回毎回満面の笑みでやっていると、どんどんとできることが増えていく。こんなふうに毎日毎日好奇心に引っ張られて何事かをやり続けることで大きな変化をもたらす。それを目の当たりにすると、僕もやる気になる。たぶん僕自身もこうやって、疲れ知らずで何かをやり続けるということをしてきた時期があって、そのときのおかげで今、それなりにやっていけているのだと思う。
努力というと、我慢してでもというニュアンスが入るけど、そういうことではなくやり続けられる、そんな乳児的な毎日を送ることができれば、人はきっとものすごく遠くまでたどり着くことができるのではないか。
人間とは子供のままの猿である、という説があって、だからこそ人は猿よりも進化したということらしいのだけど、幼稚で有り続けたほうができることは増えていくと考えれば、そういうことは確かにありえる。