October 25, 2014

【022】残すの熱

消えそうな虹の写真。
写真は消えない。
「残す」は時間と空間を移動して存在すること。
それは強烈な力の源で、発電所の炉の熱から電気が作られるように、そこからさまざまな力を生み出す。
未来、計画、安定、所有・・・

本を書くのはその時点での視界を残すこと。
もやもやとしたものを言葉として取り出し文字として定着する。
本はフリーズドライになった仮死状態の著者の視界。
読む者は自分の体験という温かなお湯をかけて仮死状態の著者の視界をよみがえらせる。
時間を超えて読む人が書いた人になる。他人の視界を得る。
これも「残すの熱」がもたらしたもの。

その時間を過去からも未来からもどんどん縮めて、今、ここに到達すると、残すの熱は失われ、書くことは話すことに、読むことは聞くことにたどり着く。


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