October 5, 2014

【019】〈大ストーリー〉への憧れとメタ僕

風が吹いていれば自分が止まっていても安心できる。
さらに続き。

軽薄で表面的な暮らしと書いたけど、僕はこの軽薄さを気に入っている。と書いたけれど、なかなかそこで終わらない。

森のなかに小屋を建てて住んでみたいと思ったりする。しかし、その理由は、猫を外に出せる、焚き火で煙も出し放題、周りに気にせず木槌の音を出せるといった、今住んでいる家では制限されているものからの解放でしかない。今の家でもそれらができるようになるなら、移る必要はなくなってしまう。

軽薄で表面的な暮らしを望むのであれば、「必要はなくなってしまう」と悲観することではない。

しかし、どこかで僕は、それらの具体的な制限要因が全てクリアになることはもちろん、それどころか僕のすべてを包み込んでくれるような〈大ストーリー〉があって、それを僕は進んでいるはずなのだと思ってしまう。まだ見えない幻想のストーリーの中に入りたがる。

でも、やっぱりそんな都合の良いストーリーはない。だから、目の前にあるシーンの解像度を上げるしかない。と思考が輪廻する。

軽薄で表面的な暮らしを気に入っている僕と生き方のすべてを精細に導いてくれる〈大ストーリー〉を望む僕がいて、その両方を行き来する僕を優柔不断な奴と眺めるメタ僕がいる。


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