文字ができてまだ5000年くらいで、まだまだ我々は文を使いこなせていない、というようなことをどこかで保坂和志さんが話していて、本当にそうだ。
と書いたのが11月14日で、それから半月経った。文字ができてまだ5000年の話の続きをずっと考えていたわけではない。でも、文字とか文章とか言葉のことは、考えない日はない。
文章にまつわる仕事をしていると時々、モーニングノートの話題を投げかけられることがある。モーニングノート自体に僕は特に思い入れはないけれど、なんというか、僕にしてはそれは、料理だったりするかもなと思う。
僕は四六時中、文字だの言葉だの文章だの心のうちの会話だのといっしょにいる。そういったものを文章として書くと、何かが誕生してしまう感覚があって、なんというか「書くことで自分を整えるワーク」的な効果はない。むしろそこから、書いたそばから、また何かの気がかりが派生していくので、書けば乱雑に複雑になる。
そういうときは料理をするのがいい。料理は僕にとっては、適度に遠いところで、やれば楽しいけれど、料理を探求したりそれで食べていったり、つまり僕の本領ではないから、適量やれば、なにかすっきりする感覚がある。
ほら、こんなことでも、ただ思ったことをぼそっと呟くように書いているだけで、ざわついてくる。