それでも、時々バーの話を聞くといいなぁと思ってしまいます。それも、行きつけのバーに行って、なじみのバーテンと話をして、なんていうのに憧れます。
常連としてバーに行きたい。
でもそんな簡単なことではないし、考えてみれば、バーによく行く人というはお酒を飲みにいくのではなくて、自分が常連として居心地がいい場所を見つけるという、まさにそのために自分のバーを探しているといってもいいのではないかとすら思えてきます。行き慣れている人がようやく辿り着くのが、常連としてバーに行くということだとしたら、やっぱり少しずつ実際にバーに足を運ぶことをしなくてはならないはずです。
こういう時、僕の悪い癖で、まっとうな努力の道を歩まずに最初から目的地に居るようなことはできないだろうかと考え始めます。
たどり着いたのが、僕の妄想上のバーを自分で勝手につくって、そこに常連客として行けばいい。
妄想は得意です。妄想だからかなり融通もききます。必要なものは、すでにだいたいそろっています。場所は、まるネコ堂でいいし、酒はリカマンで買ってくればいい。カクテルに必要なものはスーパーで。
あとはバーテンです。
うってつけの男が一人います。
フミノさん。
現実のバーテンがどのような資質を必要とするかは全くわかりません。究極的な客商売でもあるので、きっといろいろとある気がします。
でも、妄想バーなので、そういうのは気にする必要はありません。僕が居心地が良ければいい。
フミノさんはそういう人です。
客観的な言い方をすれば、物静かです。繊細といってもいいのかもしれません。でも、そういうことはともかく、僕が妄想するバーテンは、ただ、こんな人なのです。
不思議な存在感と説得力を持つ人です。
フミノさんが「バーテンのフミノです」と一言口にすれば、そこはもうれっきとしたバーです。
フミノさんもバーにはほとんど行ったことがありません。ただ、どうやればいいのか、と考えるよりも、それならできる、と考えるタイプです。
そんな僕とフミノさんの妄想を持ち寄ってバーをやります。
バーといえばカクテルですが、庭に嫌というほど生えている元気なミントでつくるモヒートはできます。何度か作りましたがほんとに美味しい。(モヒートは会津のさがちゃんがもたらしてくれました。)
あとは適当に。
こんなことに人を呼ぶのか、と言われそうなのですが、もし来て下さる人がいたら、それはとてもうれしいと思っています。
気だるく蒸し暑い夏の宇治で、
夕方ぐらいから始めます。
持ち込み歓迎。
お待ちしております。
大谷 隆