May 21, 2020

【700】アラタ走る。(生後623日目)

今朝、保育園に行くのに美緒の後をついて、走った。僕が見た初めてだ。昨日は、生まれた直後、病院で撮ってもらった自分の写真を「これだれ?」と聞かれて「アラタ」と言った。これも初めてだ。1歳8ヶ月だ。

アラタは何でも大体遅い。寝返りも遅かった。立つのも遅かった。だからたぶん、走るのも、しゃべるのも遅い方だと思う。親としては、早く寝返りするところがみたいとか、立つところがみたいとか、喋ってるのが聞きたいという思いはあるのだけれど、同時に、ゆっくりでいいというのもある。特に立つまでの時期はその相反する強く気持ちがあった。

なかなか立たない分、ハイハイは相当に上達した。腹を地面につけたままのずり這いもかなり長く、後半は相当な速度でトカゲのように這い回っていた。それから、胸が離れ、膝がつくハイハイに移行したが、この時期は短かった。その後、膝を上げた高這い。これも長かった。ものすごい勢いで四つの手足を動かして高速移動する。ロボットのように見えた。あるいはホラー映画の宇宙生物か。この高這いのおかげでアラタの胸板は貧弱な両親に似ず分厚い。

二本足で立って、二足歩行が始まってしまうと、もう高這いに戻ることはない。圧倒的に二足歩行のほうが楽だからだ。やってみるとすぐわかる。一日中四本足で歩くのは相当な筋力がいる。楽な方からは戻らない。

しゃべることができないときの意思疎通は、すべて何かしらの動作や移動を伴っていた。バナナが食べたいときには、バナナがある場所まで行く。指差しができるようになってようやく、離れた場所で意思疎通ができるようになる。それでも、腕を上げて指を差さなければならない。喋れるようになるということは、遥かに複雑なことを、ほんの僅かな筋力でやることができるようになる。楽になるのだ。一旦楽になると基本的にはもとには戻らない。

だから、僕はアラタを見ていて、寂しい思いをする。どんどん出来ることが増えていく。そしてどんどん楽になる。どんどん失っていく。僕は身勝手だ。できるようになってほしい。できないままでいてほしい。

今日、走り出してしまった。


===============
■近々開催のまるネコ堂の催し
===============

●7月28日から8月1日:言葉の表出、夏合宿2020
★満席となりました。以後キャンセル待ちにて受付です。
https://mio-aqui.blogspot.com/2020/01/2020_28.html

●定期:文章筋トレ
隔週の水曜午前、月一土曜午後
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_26.html

●9月まで月一回:『中動態の世界』ゼミ(全9回)
https://marunekodosemi.blogspot.com/2019/12/32.html

●月曜午後のzoomカフェ
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/zoom-httpszoom.html

●マンツーマンの文章面談
https://marunekodoblog.blogspot.com/p/blog-page_20.html

●定期:デッサン会
大谷美緒の企画です。
https://mio-aqui.blogspot.com/2020/04/blog-post_89.html


Share: