僕の勝手なイメージの中の「書生」生活をやってみます。
■目次
思いついた時のエントリー
【200】「書生」をやってみる。
やってみてからのエントリー
【207】「書生」生活1日目。
【208】「書生」生活1日目その2。
【209】「書生」生活1日目その3。
【210】「書生」生活2日目。
【211】「書生」生活2日目その2。
【212】「書生」生活3日目。
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銭湯へ行くつもりだったのが昨日は行かなかったので今日はむっきーと銭湯へ行くつもりだ。夕方4時ごろにと約束しておいてある。それが昼過ぎに電話がかかってきてお昼食べに行きません、というのですでにおにぎりを幾つか食べたといいながら食べに行くと答える。昨日と一緒で三条大橋を待ち合わせる。昼過ぎという時間帯で特に今日は日差しが強い。河原を歩くと巨大なプレス機で天と地の両方から熱の塊に押しつぶされている気分になる。ふくらはぎのあたりでジリジリと熱を感じる。息も絶え絶えで三条通につくと何食べますかと言われても未来を構想することはできず、過去を近いところからどうにか参照していく。昨日と同じ中華屋である。 そこそこ頑張っている中華屋のクーラーはだけど汗を止めない。小気味よく立ち振る舞う若い店員が店内のすべてのコップの水位を把握していて、わんこそばのように注いでくれるそばからお冷が喉を通り過ぎて、もう少し行ったあたりからそのままどこかに穴でも開いているのか皮膚に漏れ出ていく。コップの水位が下がり小気味よく立ち振る舞う若い店員がお水入れましょうかと笑顔で言いながら注いでくれ、ありがとうと言い、コップの水位が下がり小気味よく立ち振る舞う若い店員がお水入れましょうかと笑顔で言いながら注いでくれ、ありがとうと言い、コップの水位が下がり小気味よく立ち振る舞う若い店員がお水入れましょうかと笑顔で言いながら注いでくれ、思わず顔を見合わせて二人で吹き出して、ありがとうと言う。
昨日はものすごい負荷がかかっていましたよというむっきーに同意して、昨日のものすごい負荷を二人で反芻する。これから何かが起こる可能性よりもすでに起こったことを重層化できる可能性に向かって、お互いに隅々まで思い出しながら、何度も振り返って見る。これはどこまでも何度でもできそうなので、場所を変えることにして、むっきーのマンションへ行く。澪が夕方から合流する予定だったので、携帯電話でメールする。
エアコンがかっちり働いたむっきーの部屋で、落ちていくような昼寝を挟んで、同じことを何度も話し、同じことを何度も聞く。特にぱーちゃんのブログが素晴らしい。ぱーちゃんは友達である。昨日の夜中に気がついた夕方の着信履歴のあとのぱーちゃんの行動と衝撃が記されていて、期せずしてむっきーと僕との共同幻想的な現場の客観的な記録である。これからぱーちゃんも交えてより詳しく状況を辿り直せるとさらなる芳醇が得られると思い、ぱーちゃんに電話をする。ぱーちゃんはぱーちゃんで僕の昨日のエントリーがまるで答え合わせのようだったと言う。残念なことにぱーちゃんは今夜は人と会う予定があるというので、その話はまたあとでゆっくりと。
錦湯は錦市場近くにある。こじんまりとした小さな古い銭湯で、入るとジャズが聞こえてくる。湯に浸かりながら外が明るいのをぼんやりと眺めている。平日の夕方、まだ明るい。ここから見える景色は、少し前までの時代ならごく普通の時間であっただろうけれどと僕が思い、今となってはと考えはじめると、夏のマジックですねとむっきーが言う。
二人で甚兵を着て、手ぬぐいだけを持って、各国の観光客の間を抜け、錦市場を通り、道のあちこちで吹き出している温風を浴び、四条通を歩き、立ち止まり、藤井大丸の中に入り、出て、なんか買って帰って食べますか、そうだねと言う。フレスコでなすと薄揚げとポテトサラダと木綿と焼酎を買う。
ご飯がちょうど炊きあがった時に澪が来る。なすと薄揚げをむっきーが炊く。ワインとビールと焼酎を氷に入れたり冷蔵庫で冷えていたり、常温のままだったり、飲む。なんていうことのない確かな非日常が、今にも止まってしまいそうになるギリギリのスピードでロードローラーのように進んでいく。ポテトサラダを冷蔵庫に入れっぱなしで最後まで忘れていた。
11時頃になって、澪は家に、僕は東山の和室に帰る。さっき澪から手渡された縁坐の案内文の原稿を読んで、何故か僕が救われた気分になって、書いてくれてよかったと電話で話す。