そもそも何かが始まったりしていたのかという気がする。終わったという以上は始まっていた。フリーキャンプが終わって、今だ。
最初からあったことが、覚えてはいるけれど、それがいつあったのかは、今となっては分離できずただ、まだら模様の巨大な団子のように、あの人やあの人やあの人やあの人たちやあの人やあの人がいる。
出来事というのは、何か独立して、他からは浮き上がるように、あるということになっているけれど、本当のところ図と地の区別はなく、図と図との輪郭もない。
それを区切っているのは僕の幻想だ。
幻想として、という前提として、僕らは様々な出来事を次々と体験していることにしている。幻想として、僕らは、それを楽しんだり、悲しんだりしている。幻想として、幻聴に耳を傾けるように、自分にしか起こっていないことを愛する。とても個人的な事情に僕らは没入していて、そこから抜け出すことは生きているうちはできない。
誰かがいたり、何かがあったりすることは、すべてであって、それが僕という場所に溶け込んでいる。ここで歩いている。
フリーキャンプが終わって、51分が経過。