タランティーノは1ミリたりとも動いていない。むしろより中心部に凝固していく。もはや様式美と言っていいほど洗練されていて「静謐さ」すら漂っている。まるで小津安二郎のように。
タランティーノは映画でしかないことをやっている。映画でしか「できない」のではなく、映画でしかないこと。幸福な映画監督だと思う。
今回は馬がいい。馬車がいい。革と鉄の時代を描いている。よさそうな革のコート着てるなぁとか、あのブランケットいいなぁとか、いちいち物が重たそうなのがいいなぁとか。
いつもの胸焼けするようなケチャップ血糊もたっぷりだけど。
あと、最終章の直前にワンカットかワンシーンか飛んでいるように思う。予想だけど、ウォーレンがドメルグに銃を向けて「動くな!」と叫び、他の人間の動きが止まる描写が要る気がする。撮影はしたけれど、つないでみたらいまいちだったということだろうか。もしくは僕が何か見逃してるのかもしれない。でもまぁ、そんなことはどうでもいい。
ただただ、映画を観たなぁという気分です。