March 1, 2016

【催し】まるネコ堂 なっちゃんの影舞 音読のなかで。:4月2日(土)

なっちゃんこと小林直子さんの影舞をします。
今回は持ち寄った文を音読するなかで舞います。

なっちゃんの文章のなかで、
「文章を書くことも、舞台に立って表現することも
苦手で、好きじゃなかったのだけれど、」
とあるのだけど、
僕も(書くことはともかく)、
舞台に立って表現することなんて、
最も遠い世界だと、つい最近、
いや今でもおおかたそう思っています。

そんな僕が、それにもかかわらず
なっちゃんの影舞を主催します(しかも2回目)。
不思議なことだと自分でも思っています。
ぜひご一緒しましょう。
(大谷)

======
「まるネコ堂 なっちゃんの影舞 音読のなかで。」

大谷さんの「書く」とういうことに触れて、
わたしのこれまで持っていた「書く」ということの認識が
がらりと変わってしまった。
それまで持っていた
人に見せるための「書く」ではなくて、
自分のところに立ち続ける「書く」ということを知った。
そんな風に書いた文章は、
書いた時の自分に戻れる場所のようなものになる。

「書く」とき、読み手がいることを知っているが、
読み手の方を見て書いているのではなくて、
見ているのは、自分の中だ。

「影舞」でも同じような動きをしている。

見ている人の視線に触れながら、
舞台と設定した場所に立った時、
人に見せるための舞ではなく、
自分で立ち続けるということを意識させられる。
身につけた技や知識などは、何もまとえず、
わたしは、向かい合った相手とどのように関わるのかということを問われ続ける。
向かっているのは相手であり、自分だ。

自分のところに立ち続ける「書く」と「影舞」。

これまでのわたしは、
文章を書くことも、舞台に立って表現することも
苦手で、好きじゃなかったのだけれど、
大谷さんのいう「書く」ことや影舞を知ってからは
面白くなってきている。

大谷さんと影舞をやるなら、
誰かによって書かれた文章の中で、影舞をしてみたい!と思っていた。

自分が書いた文章とか
好きな本の印象に残っている一節とか
誰かから送られてきた手紙とか
そういった文章をもちよって
声に出して読む、その音の中で
影舞をしてみたいと思います。

小林直子

===

夏と秋が重なったその鴨川は水かさが減って、
いつもは川底だった場所が夕暮れに現れていた。
東京から来ていた友人となっちゃんの影舞がはじまった。

触れ合った二人の指先を見ていた。二人の動きを見ていた。
音楽はかけなかった。
後ろには鴨川が黒っぽく流れ、
彼岸の建物に明かりが遠く灯っていた。

途切れない水音、
橋を渡る微かなおしゃべり、
車の走行音がしていた。

一人ひとりの動きを追っていたが、二人で一つの動きとわかった。
二人で一つに見るために、焦点を広げた。

先に起こったのはどちらだったのか。
おそらくは音のはずだ。

それまでは輪郭をたもっていた音たちは、
少しずつお互いに入り込むようにして、
ただ広がる流れになっていった。

それから一つの動きとして見えていたそれは、
その下の丸い石たちに混じり合った。
後ろの水の流れにも融け合った。
遠くに見えていたはずの灯りや建物はもう背景ではなく、
網膜にうつっているすべてはひと続きになった。

きこえている、や、うつっている、
のへだたりすらなくなっていて、
太古の昔から悠久の未来まで、
それはそうあった。

ガツンガツン

石が打ち合わされる音が突然して、怒りが湧いた。
案の定、すべてが終わった。

終わる合図に石を鳴らすことを取り決めていたのだった。
東京の友人となっちゃんが、
鴨川の河原で人に戻ってちょっと笑った。

これが初めての僕のなっちゃんの影舞だ。


持ち寄った文を音読するなかで、
なっちゃんの影舞をしたらどうなるのか。
それをします。

影舞は、二人の人が指先の一点でふれあい、
その点から始まる、音のなかの動きです。
決められた動きをするのではなく、
ふれあう一点とまわりにある音によって動いていきます。

大谷 隆

==
2016年4月2日(土)10時30分〜17時30分
音読したい文章(自分で書いたものか、本、手紙などから選んだもの)をお持ちください。

場 所 :まるネコ堂にて
      京都府宇治市五ケ庄広岡谷2-167
      注意:猫がいます。
      影舞を行なう部屋には入れませんが普段は出入りしています。
      アレルギーの方はご相談下さい。
      JR奈良線・京阪宇治線「黄檗(おうばく)駅」から
      徒歩十五分ほど。坂道を登ります。迷いやすいです。
      詳しいアクセスは以下よりどうぞ。
      http://marunekodoblog.blogspot.jp/p/blog-page_14.html
・世話人 :小林 直子(なっちゃん)
・主 催 :大谷 隆
・参加費 :4,000円
・定 員 :6人
・申 込 :marunekodo@gmail.com (大谷)



Share: