January 23, 2020

【574】「レンタル」「定額制」から「サブスクリプション」へ。

別に「レンタル」でいいじゃないか、「定額制」と何が違うのか、と思うのだけど、実質的に「サブスクリプション」という言葉が流通している以上は、何かしら新しいフェーズに移ったということだろう。つまりは、「レンタル」や「定額制」とは、実質的に、違うのだ。

何かを所有するのではなく、サービスとして受益する。必要なときだけ契約し、不必要になったら解約できる。というのは、大きな流れとしてあると思う。これ自体は僕にとっては歓迎すべきことではある。だけれど、もちろん、バッグだのスリッパだのを作って売っている商売人としては、要注意事項でもある。今はまだ普通の製造販売業とみなされているが、そのうち「(今どき)売り切りの店」とか言われるようになるのかもしれない。

「壊れても修理が可能である」というキャラペイスの方針の一つは、すでにサブスクリプション的世界に入っているのだけれど、大前提としては商品そのものの所有がある。顧客には、バッグやスリッパを所有してもらわねばならない。

キャラペイスとして、遠くに見ている光景は「毎日使い続け、死ぬまで使い続けられるもの」であって、これ自体は、所有概念を必ずしも必要としない。売り切りだろうが、サブスクリプションだろうが、実質関係が無くなるぐらいの製品寿命とアフターサービスを一応念頭にはおいているが、これは、所有概念とはちょっとずれている話題ではある。少し話を引き戻そう。

たとえば、先祖代々伝わる道具を自分が生きている間は使って、死んだら子孫に引き継ぐ、みたいなことと似ている。このような物との関わり方は、少なくとも「個人所有」という語のニュアンスからは外れている気がする。あえて言えば「家族所有」「家系所有」といったところか。当事者は一時的に「預かっている(レンタルしている)」気分なのではないだろうか。こういうものを「私的財産」というのはちょっとずれていると思う。かと言って「公的財産」とも言えない。

美術品のコレクターも、一見すると成金趣味で金に物を言わせてほしいものを買い漁っているだけのように見えるが、よくよく聞けば、優れた美術的価値を将来へ引き継ぐために一時的に自分の手元に保管して散逸を防いでいるという意識だったりする(もちろん全員がそうではないだろうけれど)。

こういったことは、私的所有と公的所有の間のどこかに中間点を持つようなことではなくて、所有軸と異なる軸を設定したときに、うまく言えるようなものやサービスと人間との関わりがあるのだと思う。

適当に連想したイメージを列挙しておく。
・出来事を所有することはできない。
・見出すことは所有ではない。
・多くの物がほとんどの時間は誰にも使われていない。
・痕跡は記録することができる。
・神様には誰でもいつでも祈ることができる。
・ミッキーマウスは同時に一体しか存在できない。
・著作権とその限界。

そのうちもうすこし面白く書けるようになるかもしれないテーマ。


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