収録から約1年経って文字起こししてみました。
言葉が言葉として現れる瞬間、どういうことが起こっているのか、まさにそれが記録されている感じが僕にはします。言葉にならなかったことも、なにもないのではなくて言語としてはあって、むしろ無言こそが「幹」であって、言葉は「葉」なのだと思います。そういう意味で貴重な記録です。
無言の時間を感じながら読んでいただけると幸いです。
話し手:鈴木陵(ぱーちゃん)、大谷隆
場所:東山の和室
収録日:2015年5月28日
まとめ:大谷隆
話し手:鈴木陵(ぱーちゃん)、大谷隆
場所:東山の和室
収録日:2015年5月28日
まとめ:大谷隆
第1回「第一声を発するとき」
鈴木(ぱーちゃん):はぁーーー。よいしょっと。(30分無言)
鈴木:なんかこうしてると、こう、無言の時間の見方がちょっと変わるというか、どこかで切れるものとして時間というか、大谷さんが円坐で第一声を発するときのどこかの車、水没した車から脱出するとき※の、ドアを開ける時みたいな、のことを思い出しました。なんか、身動きがとれないみたいな、なんていうのかな。
まぁ別になにか言ったからといってどうなることでもないんだけれど、だからといってその第一声が何かものすごい意味を持つわけでもないんだけれども。なんかそこの重圧をなんか感じてましたね。
※水没した車から脱出するとき:車が水没しはじめた直後は、車内の空気と車外の水の圧力差のためにドアを開けることができない。車内に水が侵入して水で満たされると圧力差がなくなりドアを開けて脱出することができる。
(20秒無言)
大谷:なんか僕は、こう、それこそさっき、ぱーちゃんに話した、水位が一緒になるまで、こう待つというか※、一緒になるとスルッと言葉がでる。ものすごい、水位差があるからさ。
※水位が一緒になるまで待つ:この収録の前にぱーちゃんに大谷が話した内容から。大谷が見るぱーちゃんの行動原理は、何かをしようとするときに、その水位が一致するまでじっと待っていて、一致してからスルッと行動する。水位差があるうちは無理に勢いをつけるようなことをしない。
鈴木:水位差?
大谷:うん。こう最初いきなり喋れるような水位差じゃなくて、だんだんだんだんこう、なんていうのかな。上がりすぎても変な感じで、
鈴木:うんうん。
大谷:勢いをつけるのも変な感じやし。なんとなくちょうどスッてなる感じが、あるかな。それまで待ってるぱーちゃんの行動の仕方というか、なんとなく見えてる感じがあるなと。
鈴木:さっきの行動の話は面白かったですね。
(20秒無言)
鈴木:なんかもう黙ってんのしんどいって、たまらずなにか言うみたいな、のもなんかちょっとね。それはそれでちょっと変な感じっていうか。そんな気がして。
今言われて、ちょうどいいところというか、ススッとね。スッと行けると。行けるとと言うか、行けてしまうとなんというか、なんということはないんですけど。
(第2回へつづく)