February 17, 2020

【594】早く行きたければ、みんなで行け。遠くまで行きたければ、ひとりで行け。

たしかFacebookだったと思う。最初に見たのは。こう書いてあった。

早く行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。
うまい言い方だなと思った(若干「良い事言ってます」的な臭さを感じるけど)。でも同時に強い違和感がある。結局、2回ほど読んで僕は全く逆の実感があると思った。

早く行きたければ、みんなで行け。
遠くまで行きたければ、ひとりで行け。
僕の実感はこっちだ。

この実感自体が、この「ことわざ」を読んで思い当たったものなので、もとのフレーズ自体を批判したいわけではない。うまい言い方だと、今でも思っている。

その上で、僕のイメージしている「遠く」というのは、どうやら遠近として比較できるような意味合いではなく「どこにあるかわからない」「どうやって行けばいいのかわからない」「だれも知らない」「だれも居ない」ようなニュアンスでの「遠く」で、比較できるものではないことに気がついた。

ずっと「遠く」、誰も居なくて僕しか居ない、そういう場所に「みんなで」行くこと自体に矛盾がある。

もとのフレーズでは、「早く」「遠く」や「遅く」「近く」は相対的な意味あいだ(当たり前だけど)。さらに、「早く」と「近く」、「遠く」と「遅く」はそもそも自明的な結びつきをもっている。また、「ゆっくりでいいなら一人でもいい」「近くまででもみんなで行っていい」という緩みをも含んでいる。

僕は明らかに誤読しているわけだが、誤読の結果、僕は僕の重要だと思っているイメージを明確にすることができる。

僕は自分しか行けないようなところに行ってみたいという憧れがあるのだろう。そして、もし可能であるならば、そこへみんなも来てほしいのだ。

言語的な矛盾なんて、そこではなんとかなるんじゃないかという楽観主義が本体で、早遅遠近はたいしたことではなかったということだろう。



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