批評(ひひょう、英語・フランス語:critique)とは、ある事象を(できるだけ無前提の思い込みを排する形で)判断することである。批判(ひはん)とも。(ウィキペディア)
悲しいことに日本では「批評」「批判」は〈評判〉が悪い。
評判
[名・形動](スル) 1 世間の人が批評して是非を判定すること。また、その判定。「評判の高い作品」「評判を落とす」
2 世間でうわさをすること。また、そのうわさ。「評判が立つ」「人々がさまざまに評判する事件」
3 世間の関心の的になっていること。名高いこと。また、そのさま。「今年評判になった映画」「評判な(の)働き者」(デジタル大辞泉)
優れた批評はとても良いものだと思うのだけど、「世間」ではもう、優れたものが存在する余地がないぐらいに、批評は追い込まれていることになっている。悲しいことだ。
芸術作品に対してなされる批評は直ちには作品の否定を意味しない。同様に賛同も意味しない。そういう位置取りではない。優れた批評は作品に対して直交する。
作品が作者にとって自己から正面方向へと伸びる方向性を持つのに対して、批評は横切る。優れた批評は直交する。そうして、作品と批評とによって新たな平面が構成される。この平面は新たに出現した表現の場所となる。
批評も一つの表現だ。作品という表現に直行する批評という表現が新たな表現の土台を作っていく。
作者から正面へと伸びる軸に対して正対の位置を取る否定も、作者と同じ向きに立って作者を後押しする位置を取る賛同も、平面を構成できない。
否定か賛同かだけで作品を測ってしまうのは簡単だからというだけでなく、安全だからだ。安心だからだ。作り手にとっても受け手にとっても。
批評は油断がならないものだ。
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