April 26, 2020

【674】『中動態の世界』ゼミ第4回。


第4回、第4章「言語と思考」。20ページほどの比較的短めの章だけど、ここは前半の山場。ひょっとするとこの本全体の山場かもしれない。

「言語は思考の可能性の条件」というバンヴェニストの主張に対するデリダらしいトリッキーな絡みをリングアナウンサーよろしく國分氏が盛り上げてくれる。

バンヴェニストもデリダも僕は好きで、だからとても見応えがある。

「言語は思考を規定する」のではなく「言語は思考の可能性を規定する」。前者には存在しない「場」が後者では要請される。この「場」の出現のさせ方は、吉本隆明が「千里の径庭」という言い方で「想定」した自己表出と同様、ここを短絡してしまうと元も子もない。

ちょうど同じタイミングで今、三浦つとむの『日本語はどういう言語か』を改めて読み進めている。三浦と時枝誠記が言語過程説を主張するのだけど、それは「言語を心的状態そのものとしてみる言語実体観」に対する批判で、言語実体観(これは言語道具説へと進む)では、個人が対象から自由に認識して成立した思想が無視されているとしている。

三浦や時枝もまた、バンヴェニストや國分が見た「場」、吉本隆明が想定した「千里の径庭」と同様、短絡し直結することで、とても重要なものを押しつぶしてしまっている思想に抵抗している。

これまで読んできたいろいろな本が、僕の中で接点を持っていく。そういう本たちが自由に存在しつつ、それぞれに接し合うような空間を読書空間として僕も想定したい。僕の読書空間は他者の読書空間とどのように重なるのだろうか。

ゼミ参加者のカエルさんが感想をアップしています。


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