September 17, 2014

【言葉の記録2】小林健司さん 第3回

第3回  大事とか大切って、ちょっと所有してる感じがある

大谷:
そういう話で言うとよく思うことがあって、
人が資源とか、人材とかそういう言葉って、
いい意味で使われるでしょ。
でも、ちょっと嫌だなと思って。
資源なんだよ、僕、誰かの。
石油みたいな。

都合のいい存在なんやなっていう感じがしてきて。

小林:
言うよね。財産の財、書いて人財とかね。

大谷:
他人なのにね。
「けんちゃんは僕の人財です」って、変だよね。

小林:
ほんとだね。
所有してる感じなのかな。

大谷:
そんな感じがする。

小林:
大事とか大切って、ちょっと所有してる感じ、
あるんだよね。
これは僕の大切な物ですとか、
大事な物ですとか。

丁寧にこれを扱いたいとかっていう場合は、
所有してるものかもしれないけど、
所有しててもちょっと距離感がある。

大谷:
ほんとだね。

小林:
丁寧に関わりたいって言う場合って、
あんまりピッタリ来る英語ってないんだけど、
いろいろずらっと並べていくと、
リスペクトフル(respectful)とか使う場合がある。
敬意を持つ。礼儀正しい様子とかね。
だから余計、丁寧っていうのはしっくりくるなと思って。

大谷:
うん。

小林:
組織、といっても、
僕はNPOでしか勤めたことないけど、
「いったい、だれがこれやりたいねん?」みたいな、
誰もやりたくなくて、
みんな嫌がってる仕事があったりした。

ミッションがこうで、
このためにこういう事業計画があって、
具体的にはこういうタスクがあって、
で、これやる人は?
って言った途端、
「いやいや、どうぞどうぞ」って感じで、
誰もやりたがらない(笑)
なんじゃそりゃって感じだよね。

大谷:
なんじゃそりゃだね。

小林:
だれがこれ、やりたいんだよ!?と思って。
みんな自分がやりたくないっていうのには
触れずに話を進めて、
最後だけビジネス的な考え方にシフトする。
「そんなのモチベーションがどうとか、
やりたいとかやりたくないとかじゃなくて、
やらなきゃいけないことなんだからやるのが仕事だ。
それがプロだ。」って。

でもそれ、ズレてるよね。

大谷:
うん。

小林:
NPOだと特にそのズレがわかりやすい。
企業のほうが、そういう意味では
ズレが出にくいんだと思うね。
あんたお金もらうんだから、
やんなきゃいけないでしょ、
それプロだからって。

給料もらう人も、
お金のためにしてるんだから納得してやってるわけで、
すごい整合性のある話だと思うんだけど、
NPOというか、社会のためにとかミッションを掲げて、
全員がそれに賛同して仕事をしています
っていう組織でそれやると
ちょっとズレてきやすくなると思うんだよね。
プロだからやってるのかな?その人達は。
ミッションに共感するからって
組織の一員として迎えられ、
そのつもりで入って、
でも給料をもらうためには、
嫌だと思っても、違うと思っても、
やるべきことを遂行するためのプロ意識を求められるし、
それを当然だと思って頑張る。

採用する方も、組織に入る人も、
嫌な仕事は嫌、とか何のためにやってるのか分かりません、
ってことが明確に認識できてれば、
そこから話ができていくし、
さっきの企業の話と同じで整合性は高くなる気がするけど、
それすら見ないで単にプロだからって進めていくのは、
僕はちょっと矛盾している感じがあると思うんだけどなあ。


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