制度によって生かされた空き地。 キョンシーのお札ようにプレートが打ち付けられる。 |
やがて、家が建ち、街ができた。
地は覆われ、都市となった。
都市は再生を繰り返し、
その隙間に小さな空き地が生まれた。
空き地は何も無い。
他の場所には入れない人が入れる。
他の場所ではできないことができる。
原始の地の荒々しい力を受け継いでいる。
その制御されない力を都市の人々は恐れた。
空き地を檻に閉じ込めることにした。
野生の動物を檻に閉じ込めるように。
閉じ込められた空き地は、
フェンスの隙間から覗く人々に吠えかけた。
閉じ込められているのはどっちか。
その逆らい難い声を都市の人々は恐れた。
空き地を飼い慣らすことにした。
野生の動物を飼い慣らすように。
飼い慣らされた空き地は、
公開空地と呼ばれた。
牙を抜かれ、飾りを付けられた。
プレートを貼られ、呪いをかけられた。
生きているのか死んでいるのかわからない。
それでも空き地は、
都市の真ん中で密かに息を殺してその日を待っている。
炉心や爆心の周りに生じた荒々しい空き地たちのように、
再び原始の地に帰る日を。