February 11, 2015

【075】呪われた空き地。公開空地が見る夢は。

制度によって生かされた空き地。
キョンシーのお札ようにプレートが打ち付けられる。
原始、ただ地があった。
やがて、家が建ち、街ができた。
地は覆われ、都市となった。

都市は再生を繰り返し、
その隙間に小さな空き地が生まれた。

空き地は何も無い。
他の場所には入れない人が入れる。
他の場所ではできないことができる。
原始の地の荒々しい力を受け継いでいる。



その制御されない力を都市の人々は恐れた。
空き地を檻に閉じ込めることにした。
野生の動物を檻に閉じ込めるように。


閉じ込められた空き地は、
フェンスの隙間から覗く人々に吠えかけた。
閉じ込められているのはどっちか。


その逆らい難い声を都市の人々は恐れた。
空き地を飼い慣らすことにした。
野生の動物を飼い慣らすように。


飼い慣らされた空き地は、
公開空地と呼ばれた。
牙を抜かれ、飾りを付けられた。
プレートを貼られ、呪いをかけられた。
生きているのか死んでいるのかわからない。


それでも空き地は、
都市の真ん中で密かに息を殺してその日を待っている。


炉心や爆心の周りに生じた荒々しい空き地たちのように、
再び原始の地に帰る日を。


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