庭のもうすぐふきのとう。 庭は注意深く見る。 |
「もう」
気がついた時にはすでに、取り消すことができない確かな事実として、
「そこまで」
背後、あるいは、家の前の小路を出て少し大きな道に出て、少し歩いた、角を曲がったあたり、見ようと思ってもすぐには見えないし、物音が聞こえるという距離でもないところに、
「春が」
あたたかとあざやかとさわやかを混ぜ込んだ空気の塊が、自分の周り一面を包むあの匂いが、
「来て」
自らの意思を持ち、こちらを目指して、
「います」
この場所そのものに、疑いなく、静かで確固たる断言。
この断言ができる確信を持つ者は、春自身でしかない。