February 17, 2015

【081】安定はこのまま穏やかな下降線を描いて消えるように死ぬということなのに。

梅田の丸善ジュンク堂で手にとって迷って買わず、
その後天満橋のジュンク堂で買った。
タイトルを書いて、もう、そのままだなと思ったけれど、もう少し書いてみる。

いまや、誰もが安定を望んでいる。そして、誰もが一花咲かせようとしている。しかしそれは両立し得ない。ただ生きているだけで生き物は死へ歩んでいる。安定はその過程の滑らかさに過ぎない。

次の一瞬に何が起こるかわからないということと明日もまた同じ一日がやってくるということが同時に平行して起こっていて、一瞬ごとに可能性は後悔と引き換えられていく。

この忌まわしき円環からの離脱は、どうしようもない絶望という虚無への到達からしか、突如起こる。このように。

僕達の文体は安定を求めていて、猫が邪魔した。このように。

保坂和志氏、大絶賛と書かれた帯が恨めしい。
いったいいつになったら始まるというのか。

『アルタッドに捧ぐ』金子薫を読みながら、




Share: