October 31, 2018

【473】煮魚部の活動(生後55日目)

煮魚部とは スーパーで安くて美味しそうな魚があれば、たとえ食べたことがなくても臆することなく買って帰り、醤油と味醂で煮る部活である。「にざかなぶ」と呼ぶ。2日に一回、あるいは3日に一回程度、活動する。 本日の活動はアカガレイ。 しばらく活動しているとわかるのだけど、だいたいカレイである。エテガレイ、ミズカレイ、アカガレイと種類が豊富。エテガレイが安いことが多い。他にはニギス、スルメイカなど。基本的に魚は大きい方が美味しいの...

October 30, 2018

【472】ふた家族分の味噌30キロを作る。(生後54日目)

澪となっちゃんで、味噌を作るというので、小林家の3人、けんちゃん、なっちゃん、いぶきがやってくる。その味噌の量というのが合計30キロで、でかい業務用の寸胴鍋でまる二回分大豆を煮る量である。 ここに写っているのだけで15キロ分。 これを2回やった。 澪もなっちゃんも味噌作りの経験は何度もあるから手際が良いというのはあるのだけれど、それぞれ1歳3ヶ月と生後54日目の子供がいる状況で、この量の味噌を仕込もうというのだから...

October 29, 2018

【471】好きであることと心地よいことの交点。(生後53日目)

新(あらた)は、多少ぐずついていてもベビーカーに乗せて、ガタガタと動き出すととたんにおとなしくなる。家の中とは違う外の雰囲気と移ろいゆく景色に注意の全部が支払われていて、泣いている場合ではなくなるようだ。 こういうのを見ていると、普通に「新は散歩が好きなんだ」と思うし、そう口に出しても言う。しかし、新自身にとっては「好き」と言いきれるほどの体験とは言えない。もう少し違う言葉が適切な気がする。 空気の匂い、風、温度、目に映る風景、車...

【470】自然発生的フリーマーケット

昨日のこと。 澪が赤ん坊を連れて散歩に行ったと思ったら帰ってきて「すごいから来て」というので、ついて行ってみると、すぐ近所の人が家の前に棚を置いて本を並べて「ご自由にどうぞ」とやっていた。 以前からうちでちょくちょく出しているガレージセールとそっくりのスタイルである。 うれしくなって我が家も出店する。 同じ道沿いで、ほんの30メートルほどの距離に似たような本棚。通りかかった人はちょっと驚いたと...

October 28, 2018

【469】おしっこがおしっこ臭くなってきた。(生後52日目)

無色透明無味無臭だったおしっこが、あ、いや味は知らないけど、おしっこ臭くなってきた。心なしか色もついてきた気がする。 うんちもだんだん固まってきたし、だんだん内臓が働き出してきた。手足はまだ思うようには動かせないのだから、解剖学者の三木成夫的に言えば、まずは体壁系よりも内臓系から整っていくということだろうか。 ここのところ、抱っこの要求が増えてきた気がする。正確には「抱っこをしてほしい」という欲求が独立して現れてきたというか。以前...

October 27, 2018

【468】意外にも大きかった鼻くそがとれた。(生後51日目)

昨夜。寝ている新(あらた)の鼻がズーゴーズーゴーいって苦しそうで、寝入ってもしばらくすると起きてしまう。鼻の穴を覗くと、乾いた鼻くそが息のたびにヒコヒコと動いてはいるものの、それ以上奥は見えない。ティッシュでこよりを作って少し突っ込んでみたりするものの、取れそうにないので、仕方なくそのままにしておく。 朝になっても、まだズーゴーズーゴーと苦しそうで、機嫌も悪い。どうしようかとまた鼻の穴を覗いてみると、今度は昨夜とは違って湿っぽくて粘...

【467】だいたいずっと家にいる。豊かな生活のために家に居ること。(生後50日目)

うちは、僕と澪が一日中家にいる。二人で、家事と子育てと若干の仕事をやっている。新(あらた)の生後50日たって、最近はだいぶ落ち着いてきたけれど、最初の二週間はかなりきつかった。 もし、これで僕が外へ働きに出ていたとしたら、生活も子育ても相当に厳しい状況に置かれたと思う。たとえ、布おむつを紙おむつに、母乳をミルクに、買い物を配達に変更して、負担を下げたとしても。 だから、たとえ、料理がうまく作れなくても、掃除や洗濯をやった...

October 25, 2018

【466】うんちの出し方わかった、かも(生後49日目)

昨日はうんちだらけだった。 午前にお腹のマッサージをするが、このときは出なかった。午後2時頃、顔を赤くしながら盛大におならを繰り返すので、これはもしかしてと、綿棒でお尻の穴を刺激すると、すぐに大量に出始める。 もう終わったかなと思ってから、もうひと踏ん張りしてドバっと出す。これでもう終わったかなと思ったら、またひと踏ん張りしてドバっと出す。 かなりの量が出たので、今日はもうこれで十分だろうと思ったていたら、夜お風呂に入る前に普通...

October 24, 2018

【465】顔面、傷だらけ。(生後48日目)

爪は割とこまめに切ってやっているつもりではある。 なのに気がつくと顔面、傷だらけである。一日ほどで治るのだが、翌日には新しい傷が必ず増えている。 今日は鼻血かと思う傷までつくっている。心なしか、まぶたも腫れている。これは、もしかして、我々が目を離したすきに街の不良の二、三人でもノシてきたのかもしれない。 あまり危ないことはしないでもらいた...

October 23, 2018

【464】子育てハック。寝付かせ抱っこ。(生後47日目)

長時間の抱っこの末、ようやく寝付いたと思って布団に寝かせた途端、発動して泣き出す「背中スイッチ」 への、まるネコ堂式の対処法です。 まず「背中スイッチ」が、なぜ起こるのか。第一に考えられるのが、寝付きが浅いから。つまり、抱っこで寝付かせる時点でもっと深く眠らせてしまえばいい。 というわけで「寝付かせ抱っこ」。 前半は、抱っこして寝入らせますが、このとき、少ししっかりめに抱っこして、赤ん坊の体勢がやや丸く縮こまっている感じにします...

October 22, 2018

【463】病院へ行ったり、二階へ引っ越したり(生後46日目)

右耳から大量の耳垂れ。一応、中耳炎なども疑って近所の小児科へ。澪が連れて行ってくれる。そういえば鼻水も出てる感じだし、咳もしてるから風邪でもひいたかもしれない。 と思ったが、結果は違ったようで、耳の汗腺が腫れているらしい。大したことはないようで、塗り薬をもらう。鼻水もまぁこういうものらしい。 どちらにせよ掛かりつけの小児科は探しておかなければならなかったし、予防接種の予約もできたので、ちょうどよかった。顔などの湿疹の対策は今のまま...

October 21, 2018

【462】赤ん坊から魚の臭いがする(生後45日目)

干物っぽいやつ。 なんだろうと思ったら、耳の後ろから湧き出てきていたアブラの臭いだった。昨日あたりから、左右両方ともジュクジュク出てきていて、「油田」と呼んでいた。 なるほど、このアブラ(脂)は、先日までは、頭、額、頬などから吹き出物として吹き出していたやつで、今度は、耳の後ろから吹き出したというわけだ。しかも、もう、ダイレクトに液体のまま出てきている。吹き出物が石炭だとすれば、確かにこれは石油である。油田もあながち間違いではない...

October 20, 2018

【461】初笑いか。(生後44日目)

10時ごろ、抱っこしてスクワットしていたら「えへへへ」と聴こえる。眠そうにしながらも笑顔が出ている。笑い声らしきものとしては初めて。新生児微笑ではないはじめての「笑い」かもしれない。声、というか、 声的な声といったらいいのか、音韻的な声といったらいいのか、「はーい」「あー」「んー」など、鳴き声・叫び声や唸り声とは違った普通に人が話すときに出すような声は、ちょくちょく出るようになっていた。ここ数日、ベビーカーで散歩によくでかけるようにな...

【催し】2019年元旦に持ち寄り食会やります。

元旦、特に予定がないよ、という方、まるネコ堂で持ち寄り食会やりましょう。予算は1500円。持ち寄り食会としては結構豪華なので、立派な新年会になると思います。 詳細は、山根みおのブログにて。 持ち寄り食会、未経験の方も気楽にど...

October 19, 2018

【460】断片化する時間の影響(生後43日目)

赤ん坊と一緒にいるとどんどんと時間が断片化する。 おしめがぬれた、お腹が減った、と泣き出すたびに、何かしらの対応が必要になるし、静かにしていたら静かにしていたで、不安になって様子を見に行ってしまう。 見に行けば見に行ったで、気になることは増えるし、つい遊びだすと可愛いし、面白いので、いろいろやってしまう。 単純に時間が取られるというのではなく、時間が断片化し、時間の質が変わる。そうなると相性の悪いことも出てくる。 本を読んだり、文章を...

October 18, 2018

【催し】最後の「読む書く残す」と「音読」の言語合宿

言語合宿をやります。 年末、クリスマスのあたりの2泊3日です。 案内文にもあるように「読む書く残す探求ゼミ」という名称でやってきた講座は、これで最後になります。その後は、枠組みを変えてやっていく予定にしています。 最後となると「後がない」が故に、だいたい羽目を外すことになるのですが、今回も思いっきり楽しみたいと思っています。 === 「読む書く残す」では、テクストの中に深く潜り込むことします。言葉によって生まれる特別な空間と時間を〈体験として読む〉こと、その体験を言葉にして話すこと。これを複数の人がそれぞれに行うことで、テクストが多重露光され立体化していきます。一般に持ち込み文章を募集するスタイルの「読む書く残す探求ゼミ」としては最後の開催となる予定です。後継の講座については別途お知らせします。 音読講座は、テクストの世界を、自分の身体を使い音読によって現実に出現させる講座です。テクストが持つ言語空間を現実の空間に現すことで引き起こされる大きな効果を体験します。声をなじませること、繰り返し練習すること、様々な声を試すことなどを行います。 どちらも〈読むということ〉の深さと広さをたっぷりと感じていただける内容です。両講座を連続で受講されることが望ましいですが、単体での受講も可能です。 ▶日 程:2018年12月22日(土)11時頃~24日17時頃(月祝) ▶講 師:大谷隆(精読)、小林健司(音読) ▶内 容:  読む書く残す(22日、23日):...

【459】夜好きの兆候(生後42日目)

午前中、澪が病院へ。そのため初めて新(あらた)くんと2人きりに。 大丈夫かなとちょっと身構えていたけど、9時くらいに澪が出ていき、1時くらいに帰ってくるまで、ほぼ寝てた。 11時半頃、お腹が減ったらしくミルクを作って飲ませたぐらいで、拍子抜けする。陽当りの良い窓際で、グーグー気持ちよさそう。 だいたい新は夜型である。 夜型というか、夜好きで、日が暮れて暗くなると目がぱっちりと開いて、いかにも興味津々。抱っこして肌寒い中、家の周...

October 17, 2018

【458】保健師の訪問(生後41日目)

保健師の訪問日。体重を測ってもらう。5,660g。一日60g増。案の定「十分に体重は増えているのでミルクはなくてもいいですよ」と言われる。 ここ二日ほど、ミルクは一日1回までに減っている。抱っこバリエーションを増やしたり、散歩を取り入れたりして赤ん坊の欲求を紛らわしつつ、澪は澪で腕を回して肩こりをほぐして母乳の出をよくしてきた。そういったことが功を奏しつつある。母乳への完全移行が見えてきた。よかった。 おでこ、頭、頬の湿疹というか...

October 16, 2018

【457】記録を継続する(生後40日目)

右が病院でつけていた「おっぱいノート」。出生時からしばらくは看護師さんがつけてくれていた。左は今日から使い始めたノート。記入形式は若干変更している。 生まれた病院でつけるように渡されていた「おっぱいノート」というものがある。「おしっこ」「うんち」「おっぱい」「ミルク」「沐浴」など、赤ん坊がなにかしたり、赤ん坊になにかしたときに、時刻と一緒にに記録しておくもので、病院では看護師さんたちはこれを見ながら、「うんち出てませんね」とか「...

October 15, 2018

【募集】読むこと書くことが面白くなる「文章の家庭教師」始めます。

当初予定していた人数に達しましたので、いったん募集を停止します。希望される方がいらっしゃれば、ご連絡ください。再開時に優先的にお知らせします。 === 「文章の家庭教師」あるいは少人数制の「読み書きの教室」のようなものをやってみます。 「書くって実はこんなことだったのか!」「読んでるだけなのにこんなことまで起こるのか!」と、驚くような体験 を文章は引き起こします。その体験を積み重ねながら、読む書くという魅惑の〈場所〉へ向かいます。...

【456】乳児湿疹?、便秘、母乳(生後39日目)

今、赤ん坊のことで気になっているのは、 1、乳児湿疹? 頭、おでこ、頬がひどくウロコ状というかかさぶた状というか。体にも少々。調べてみると対策はだいたい、石鹸の泡で洗って清潔にして、ワセリンなどで保湿。清潔と保湿。というわけで、沐浴以外では、顔をガーゼで拭いたりしている。保湿に関しては、馬油をつけていた時期があるのだけど、ひどくなっている気がして今は休止中。2日ほど前からベビーローションに切り替えてみていて、ちょっとよくなったかも。...

October 14, 2018

【455】おっぱい対決、37連敗中(生後38日目)

できるだけ母乳で育てたいと思っているが、足りない分は仕方なく粉ミルクで補っている。 新(あらた)くんの食欲は旺盛で、これまでのところ母乳だけで足りた日は一日もない。つまり、37回戦って、新くんの全勝である。ぶくぶく、いや、すくすく育ったその体は、もはや横綱の貫禄すら漂っている。 助産師さんにも言われたし、ネットなどでも書かれていることだが、赤ん坊が泣いているときの欲求は必ずしもお腹が減っているというだけではないので、なるべくいろん...

October 13, 2018

【454】便秘対策、そして出た。(生後37日目)

出た。 今日の午前中、大量に、自発的に、マッサージをしたわけでもなく、綿棒でグリグリやったわけでもないけれど、出た。うんち。 昨日、綿棒の刺激で大量に出たにもかかわらず今日はそれを上回る量が出た。 これまでの便秘対策についての流れは以下を読んでください。 【450】赤ん坊の便秘対策をしてみる。(生後33日目)【453】便秘その後。(生後36日目)今日、やってみたこととしては、ちょっとくしゃみが多いので、いつもの服の上にもう一枚...

【453】便秘その後。(生後36日目)

赤ん坊の新くんが便秘気味だというのは以前に書いた。 【450】赤ん坊の便秘対策をしてみる。(生後33日目) で、その後。 一応ネットで調べてみると、この時期の排便周期は個人差が大きいようで、一日7、8回の赤ん坊もあれば、2日に一回ということもあるらしい。それはそれでその赤ん坊のペースなので無理に出さなくても良いと。 で、2日ほど様子を見ていたのだけど、やっぱり出にくい。というか出ない。時々、顔を真赤にして、理由のわからない暴れ方と...

October 11, 2018

【452】抱っこのバリエーション(生後35日目)

と言っても、横抱きとか縦抱きとかそういうことではない。「抱っこスクワット」「抱っこ散歩」「ドラクエの船抱っこ」「ピンボール抱っこ」などのことである。 抱っこスクワットは、簡単に言えば抱っこしながらスクワットすることで、難しく言っても同じである。本気で膝が90度になるぐらいまで腰を落とすときつすぎるので、そこまではしない。赤ん坊にとっては横になっている状態で背中の方へ垂直落下して、その後垂直上昇するので、絶叫マシン的な興奮があるらしい...

October 10, 2018

【451】絵本と児童文学に対する僕の不満。(生後34日目)

この時期、目もだいぶ見えるようになってきた様子だけど、やはり断然聴覚優位である。抱っこして窓の近くに行くと、外の道を通るバイクの音に耳を澄ませ、バイクが走り去っていく方向に目を動かしている。バイク自体は窓からは見えない。雨が降っているとその音を聞いている。台所で料理しているとそれを聞く。匂いがどの程度わかっているのかは判断が難しい。 人の話声への反応も強い。話しかけているだけでおとなしくなることも多い。先日のイベント「本好きが本の話...

October 9, 2018

【450】赤ん坊の便秘対策をしてみる。(生後33日目)

新くんはこのところ便秘気味で、なかなかうんちが出ない。 昨日は澪にお腹をマッサージしてもらって、それでも出ないので綿棒をお尻の穴に入れてぐりぐりやって、出た。今日も同じようにお腹をマッサージして、綿棒もやる。少しだけ出る。 この時期の赤ん坊は仰向けに寝て、手や足を動かすぐらいしか体を動かせないので、運動不足で便秘になりがちだという説がある。そうかもしれない。 というわけで、ダンスでもさせてみようと思う。足をもって揺する。BGMは...

October 8, 2018

【449】気に入らなさの複雑化。赤ん坊が泣く理由。(生後32日目)

赤ん坊は泣くのが仕事、などと言われる。では、その仕事内容を見てみよう。 うちの新くんの場合、 まず、生まれてすぐに分娩室で泣いていた。何もかもが子宮の中とは違うということに対しての「泣き」であって、この「泣き」は全てに対する「泣き」である。このとき、泣く理由があるとすれば、それはたった一つ。何もかもが変わったということである。自らの誕生とそれと同義である世界の誕生に対して泣いているとも言える(※)。 そのあと、すぐに、たぶん生ま...

【448】山根澪との会話「良い美術展とモネすげぇ」

山根澪と特にテーマを決めず話をしたものを再構成しました。 美術展の良し悪しがわかるようになってきた 山根:  去年の9月ぐらいから美術館にいっぱい行くようになって。多いときは月10回以上。以前は、興味のある作品が展示される美術展だけ観に行ってた。  作品自体は行く前に何があるか分かるから、その作品を観ること自体は展示に行ったら絶対達成されるんだけど、それ以外のことですごいがっかりしたり、おお!と思ったりするようになった。意図を持ってちゃんとやってる美術展は面白い。  例えば、目玉になる一枚があるとすると、企画した人にとって、その一枚が面白く見えてる面があるはずで、それが分かるように他の作品を並べてきたり、文章で説明したり、そういうことをやってる。展示自体は、展示をした人の作品、「キュレーターの作品」って気がする。一枚だけ絵を観るっていうのと全然違う。 大谷:  骨董市とかで、古い汚い壊れたザルとか売ってて。それ見て「こんなのはウチにもある」って思うんだよね。それが「こんな高い値段で売られているなんて」って。  でも、よくよく考えると、物置とかに使わなくて放ったらかしになっていることと、古道具屋さんが店にそれを出すっていうことは全然違うことなんだよなって思う。この汚いザルが、実は、古道具としてかっこいいのだ、商品価値があるのだ、と古道具屋さんは言ってる。それって簡単にはできない。古道具の面白さって、そういう価値の提示にある。  優れた美術展はそういうことをやっているのかなと思った。 山根:  そういうがスパッと見える展示はやっぱりかっこいい。この一年だと「バベルの塔展(国立国際美術館)」ぐらい。  バベルの塔自体がすごい有名な絵で、何をしてもそこそこ集客できる絵だと思うけど、ちゃんとした展示だった。その画家自身(ブリューゲル)の絵も、その前の時代の人の絵も結構集めてきていて。その時にすごいスタイルが変わったことがわかる。神話に出てくるバベルの塔をどう捉えたかが、ちゃんと観たらちゃんと分かる。展示の裏側に膨大な知識を感じる。 大谷:  優れた美術展は批評を含んでいると思う。ただ並べて観せるだけじゃなく。こういう観点から作品を観れば、作品がもっと面白くなるんだよってことを提示するのが批評だと思う。 モネすげぇ、と思った 山根:  そういう感じの挑戦をしてる展示が面白い。何年か前、モネ展を京都市美術館でやっていて。それまであんまりモネは好きではなかったんやけど、モネすげぇって思った。  「モネは光を描こうとした」と言われたりするけど、それが本当に、最初の若い時から死ぬまで生涯を通してそれをやろうとしてたっていうのが、作品を観ればわかるように展示されてて。  展示を最後まで観て思ったのは、晩年、モネが達成したのは、光をとらえる瞬間「だけ」を描いたって感じ。何かを見たときに、物体として「これは木だ」とか、そういう、物と自分の関係を結ぶ前の、パッと見た時の光の印象。そこだけで終わらせるような絵を、最終的にモネは描いた。  でも、そこに到達するまでは、モネもやっぱり物を描いちゃう。光をとらえるのと物を描くっていうのはちょっと違うのだけど、どうしても絵としてそうなってしまう。最後までいってそれがわかる。そこに行くまでにモネが試していったことが見えてくる。  だから、これそんなに良くないかもって思うのも、途中にはあって。水の下にある藻を描いているやつとかは、これは失敗だなって。でも実験でこれをやったんだねっていう、そういうのがわかってしまうように並べてある。モネだから全部すごいだなんて思わせない。  よく「印象派は感情を描いた」みたいことが、言われてたりはするけど、でもそうなんかなぁ。感情をとっぱらった時にどうやって描くかみたいなことを、少なくともモネは挑戦したんじゃないかって思う。  たとえば、花でも見て描いたりする時に、こう、スイートピー綺麗だから、可愛い感じとか鮮やかな感じに描こうみたいな、そういう描き方じゃなくて、その感情が発生する前に、ただ光が網膜に来てるはずだから、それをどうやって描くかというのを、モネは突き詰めて行ったんじゃないか。見たままを描いてて感情がない。感情と切り離してるって思う。ただパッと見たときにこう見えましたっていう新しい写実性というか。その一瞬に忠実であるからできることとしての写実かな。  言葉でたくさん説明した展示ではないんやけど、真面目な展示、モネ入門みたいな感じですごくいい。あの展示を観たから、モネだったらいろんな美術館に一点とか二点とかあったりするけど、そういうのも面白く観えるようになる。そうなれる展示だったなと思って。それからモネ好きになって、一点でも観に行ったりする。 大谷:  モネは、見るっていうことのプロセスを細分化していくようなことをやろうとしたってこと? 何かを見たときにそれがなんであるかっていうことの認識が発生するけど、その前の段階で。 山根:  最初に思ったのは、絵が溶けてるって感じがした。「柳」とか「太鼓橋」とかタイトルは付いてるんだけどもう、柳の木を見たって思う前ぐらいで、像をむずばせない。暗い部屋から明るい外に出たときに、ちょっとまだ暗さの標準をあわせていく途中というか、そういうところの瞬間を描いてる。じっと絵を見ていてわかるとかそういうもんじゃなくて、見てたらもう何だかわかんない感じになって。 大谷:  視覚から意識に至るプロセスをある段階で止めるのって、大変だと思う。  たしかに、庭でボーッっとしているとそういうふうに見えることがある。何かに集中していない、何にも焦点が合わないような見え方。でも、すぐに何かを見てしまう。何かに焦点があってしまう。意識の焦点が合うと同時に、視覚の焦点も合ってしまう。見るって言う行為はそういうふうになってる。ただ、意識が何も照準しない瞬間っていうのはあるから、その瞬間の視界をイメージとして記憶してしまえば、あとから描くことはできなくはない気もする。でも、再現するのも相当難しい。何か見ているようで何も見ていない、集中(照準)していない視覚のイメージ。  ゲルハルト・リヒターがピンボケ写真みたいな絵を描いていたけど、あれもモネとは違う意味で視覚というものの構造をとらえた絵画なのかなって思った。リヒターのピンぼけの絵は、普通にピントが合った状態に描いたあとでピンぼけにする処理をしている。最初からピンぼけに描いてはいない。当たり前だけど。もしそれをもともとピンぼけに描くとしたらどうなるんだろうって思う。さっきのモネの「物と自分の関係を結ぶ前の、パッと見た時の光の印象」っていう話はそういうのかなと思った。 山根:  そういうことかもしれない。どうやって描いたんだって、すごい思う。  東京で美術館行ったときに、子供とボランティアガイドが話しをしてて、絵って近くで描くしかないから、子供に近くでどう観えるってきくと「ぐちゃぐちゃ」って、じゃぁ離れてみてみようって、そしたら「めちゃきれい」って。  離れたら写実的に見えるんだけど、近づいて精密に描いた写実とは全く違う。それこそ人間の目に逆に近いような感じを受けさせる。どうなってんだって、何回見ても思う。できんわ、これはって。 (収録日...

October 7, 2018

【447】赤ん坊の観察。(生後31日目)

赤ん坊の新(あらた)くん、一度に寝る時間がだいぶ長く伸びてきた。3時間ぐらい寝ていることも多い。親にとってはまとまった時間がとれるようになるのでありがたい。 今日ぐらいから、新の口から、泣き声、しゃっくり、あくび、ゲップといった生理的な音以外の、「あー」「あ」「ほうーん」といった声に近いようなものが聞こえるようになってきた。 いずれ言葉、つまり音韻になっていくのはこういう音の出し方なんだろう。 「あー」「あ」などは泣く前の音とい...

October 4, 2018

【446】子供が生まれて一ヶ月たった。(生後28日目)

9月6日に男の子が生まれた。名前は新(あらた)と名付けた。 難産だった。助産院だったので、僕も3日間そばにいた。二日目の夜中、陣痛が始まってから24時間から30時間ぐらいの間が一番つらかった。澪の分娩段階は全く進行せず、ただただ10分おきに声を限りにうめいて激痛に耐える。それが深夜6時間続いた。「痛くて気が狂いそう」という言葉は言葉通りに突き刺さってくる。 朝になったら提携先の病院に電話をかけて転院を相談できるということだけが希望...

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