January 29, 2015

【065】現代における「新しい物」は少ない要素で成立する。反ブリコラージュ論。

革は厚みが違うだけで特性が大きくかわる。
「深さ」のある素材。
今や物だけでなく材料の種類もあふれている。必要な用途に合わせて「だったら、ここにあるこれを追加すればいい」とその都度都合よく要素を追加していくことは、機能としての物体を成立させるのに、ものすごく安易な方法で、そういう「寄せ集め」という意味で「ブリコラージュ」は好きになれない。

もう大概のことは手段さえ選ばなければ実現するのだから、実現すること自体に新しさはやせ細っている。少ない要素で振り絞るようにして現れるという必然性が、現代においては「新しい物」として見えてくる。

要素が少なければ少ないほど、その限られた要素一つ一つが持つ特性を引き出さなければ何かを成立させることはできない。その特性は、一つ一つの要素の「深さ」から見つけ出してくる。それだけの深さを持つ「要素」を選びとることこそが「新しさ」の断面になる。

要素が少ないからといってその意味を「物事を簡単に考える」とか「シンプルに考える」と捉えるのは間違いで、要素が少ないほど物事を見ることに対する解像度が求められる。要素を減らすために、普通なら考えなくても良いことまで考えなくてはならない。これを「考えすぎ」と片付けてしまう人にとって、現代はつまらない時代である。


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