失われているからこそ懐かしいという感情が起こる、 というイメージ写真。 |
「エスカレーター前に回収ボックスがあります」
と案内された。
昨日ほんのちょっと期待していた20年物のフリースについての会話は全くなかった。
いや、それどころか交わした言葉はフリースそのものについてではなく、回収ボックスについてのものだった。
まぁ、あの明るく整った店内できっちりした制服のスタッフに着古したフリースをしげしげ見られたら、確実に恥ずかしいから、この対応が最善だし、そもそもそういう「ドラマ」を期待するなら古着屋に行くべきだ。
だからこれは、僕の中にあるものに過ぎないのだけど、この短いやりとりとボックスに投げ入れる瞬間に生じた物悲しさこそが、僕が修理が好きだったり、長く使いたいリュックを作ったりする意志の源泉なんだろう。それは確認できた。