手前左のしろっぽいのがしろ、奥がちび、 手前右の茶色っぽいのがしっぽ。 この図はしっぽとしろが仲良くしているところに ちびが無理やり上から乗ってる、ように見える。 |
8歳のオスの「しっぽ」、1歳のメスの「しろ」、同じく1歳のメスの「ちび」。しっぽは去勢している。しろとちびは避妊していない。しろとちびはちょうど去年の今頃、近くのお墓のそばに捨てられていたのを見つけて、拾ってきた。手のひらに乗るサイズ、目も開かないへその緒もついたままで、拾った瞬間から家が野戦病院みたいになって、一日二回も獣医へ通ったりしていた。それがもう1歳で発情期を迎えている。
オスのしっぽは去勢しているから、メスの二匹が発情してどんなに擦り寄ってきても、まったく興味を示さない。3匹とも家からは出さないようにしているので、しろとちびは必死になってオスを呼んでいるが、相手をしてくれるオスはいない。
しろとちびは発情期になってトイレ以外の場所でおしっこをするようになった。スプレーという行為で、オスに自分の存在を示すための行動らしい。避妊手術をするとしなくなるらしいのだけど、個体差があるというので、どんなものか様子を見ることにしたのだけど、うちの2匹はかなりする。
ということで、2匹がいる場所にはものが置けなくなった。うちは2階の4畳半の二部屋と廊下、階段、1階の三畳のスペースを猫のゾーンにしているのだけど、ここから人間用のすべての物を撤去した。その結果、僕とパートナーの澪の「私物」は2階の一部屋に全部押し込められることになり、まるでワンルームのような空間になっている。こういうことがあると僕は楽しくて、この窮屈さから物を減らす意欲が湧いたりする。
猫のほうはというと、部屋からものがなくなって若干つまらなそうに見える。たまに段ボール箱などをおいてやると3匹が一斉に寄ってきて匂いを嗅いだり中に入ったりしてひとしきり遊ぶ。
猫は神経質だから、あまり部屋の物を移動させたりしないほうがいい、というようなことを聞いたこともあるけれど、僕から見るとむしろ猫は新しもの好き、変化好きで、変化が起こるとそれを確かめたくてしかたがなくて、そういう行為を人間が勝手に「神経質」と見ているんじゃないかと思う。
3匹の猫がいると、3匹ともがくっついていることもあるし、2匹だけがくっついていて1匹が離れていることもある。3匹ともバラバラのこともある。そういう状態から僕は勝手に、だれとだれが今日は仲良くしていて、もう1匹が拗ねているとか、拗ねている1匹が無理やり間に割ってはいろうとしているとか、そんなことを考えてしまう。
猫にしたらそういうことではなくて、単に温度によってくっついたり離れたりしているだけなのかもしれないけれど、人間の目は人間と同じ関係性を見ようとしてしまう。
でも本当は人間ですら、単に温度によってくっついたり離れたりしているだけかもしれなくて、それを感情というものが自分の体の動きを説明するために、好きだったり嫌いだったりというものを発生させているのかもしれない。