May 12, 2015

【152】夢と食いしばり。

目が覚めた時、奥歯に鈍い痛みがあるので食いしばっている。以前、歯が欠けてというか割れて歯医者に行ったら、これは食いしばりといって、力いっぱい奥歯を噛み締めていて、自分で自分の歯を割っちゃったんですよ、と言われた。

重症になるとどうなるかというかなりエグい写真を見せられて、対処方法はあるんですかときくと、困ったような顔をされて、仕事を変えるとかですかねと言われた。起きている間は意識して口をゆるめておけばいいのだけど、寝てる間はどうしようもなく、マウスピースをつけて寝るという手もあるが、そうすると余計に食いしばるから、万が一マウスピースを付けずに寝てしまった時に、強く割ってしまう恐れがある。一生マウスピースをつけてないといけなくなるんですよと言われて、それは無理だと思った。結局根本的な医療対策は取らず割れた歯を差し歯にしただけで帰ってきた。

その後、無駄かもしれないと思いつつも、とにかく意識して口をだらしなく開けるようにしていた。口を開けていると、顎や頬の筋肉が「たしかに今までこういう感じになったことがない」と言っているような気がして、少なくともちょくちょく口を開けることで顎や頬の筋肉にこの状態を覚えてもらおうと、そんなちょっと変なことをやっていた。僕の意識がないときも僕の代わりに顎や頬が自発的に口をゆるめておいてくれるかもしれない、そんなことを考えていた。

不思議なことに、この方法がうまく行ったのか、それ以降、食いしばりはかなり緩和された。やがて食いしばりのこと自体を忘れていることが多くなって、口を開けることも、顎や頬の筋肉を擬人化することもなくなっていった。仕事の環境も変わったのでその影響かもしれないけれど。

それから何年か経ったのだけど、そういえば食いしばりが緩和されていると思っていた間、僕はあまり夢を見なかった。見ていたのかもしれないけれど、目が覚めた時にその痕跡がなく、意識のつながりとして、寝る前との時間の連続性さえあった気がする。さっき寝たところなのに、もう起きるのかと。

それがここ数ヶ月、起きた時にかなりの頻度で夢を見ていたことを感じる。そういう時はだいたい目が覚めた時に、これは夢であって現実ではないのだから安心していいという気持ちと、夢であったことにどうやって対策を取ろうかという気持ちが同時にあって、しばらくは安心しつつ、対策を取ろうとし続けている。悪夢というほどの強さではないものの、僕にとってはなにか対策を取らないといけない、解決しないといけないような気分をまとった夢で、内容的には異なるだろうけれど、気分としては同じ夢が何日も続いたりする。

今朝見ていた夢もそういう夢で、どういう内容だったかは覚えていない。しばらくまた口を開けて顎と頬の筋肉に意識を取り戻してもらう。


Share: