June 1, 2015

【言葉の記録5】コトバのキロク公開収録その2 第12回

第12回 文章って書いた次の瞬間にはもう別人だから、死んでるんだよ。

大谷:
お金を稼ぎたい人が、
なんでお金なんですかって聞かれて、
答えるようなことと似ているかもしれない。

小林:
うん。

大谷さんが好きな人というか、
大谷さんが書く文章もそうだけど、
なんつったらいいんだろうな、網野善彦なんかもそうだけど、
なんか、網野善彦が言っていることが
本当に全部事実かどうか僕は調べるすべはないけれど、
自分なりに事実に対してすごくこう、
謙虚に接しようとしているというか、
しようとしている感じがするし、
あの、スモールハウスの人、Bライフか、の人とかも、
結構世界の事実に対して謙虚に、
自分なりの人生をかけて携わっていて、
それを尚且つ、発信、ふたりともそうだけど、
書き記そうとしている。

大谷さんが書いている文章とかも、そういう似た質感を感じる。

大谷:
あぁ。

小林:
なんちゅうのかな、影響力といってたけれど、
それはまるで、それこそ古文書みたいな形で残した時に、
そういう意味でこう、まぁ今の人に向けて書いているけれど、
今の人にだけ向けているわけではない、
というと少し大げさか、
まぁまぁ、そんな感じもして、
ちょっと興味があって、きいてみた。

大谷:
あのね、
あの、死んでる人。死んでる・・・。

文章ってさ、書くと、書いた瞬間の自分は、
次の瞬間にはもう別人じゃん。
だから、死んでるんだよ。書くと・・・。
書いたら、死ぬの。

本は、死人が書いてる。
生きている人が書いても、
もうその本を書いた時のその人ではないわけだから、死んでる。
その著者って。
古文書も死んでる。当然ね。

死者になる感じ。どんどん死んでいく感じ。
自分が死んだけれど、その影響力、
それに何かがあるっていう状態が好きなんだと思う。

小林:
うん。


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