June 1, 2015

【言葉の記録5】コトバのキロク公開収録その2 第6回

第6回 舞台というものがあるということによって何かが発生してしまう。

大谷:
文字とかお金っていうものも、
舞台とか誌面、編集とか、ある形式によって、
それによって人間がある行動をしてしまうものだよね。

別にお金が何かを命令しているわけではないし、
文字が何かを命令しているわけではないんだけれども、
でもそれによって、勝手に動く。

お金というものがある時点でもう、心地よさとか、
心地悪さみたいなのが発生している。

見出しっていうのが立った時点で、
これが揃ってないと気持ち悪いとか、
舞台というものがあるということによって何かが発生してしまう。

おんなじ感じがするんだよね。

小林:
うん。うん。

大谷:
網野善彦、すごく面白いと思うのが、
例えばお金とか、着てるものとかを読み解く。

柿色の衣とか覆面とか、
そういうのを絵巻から見つけてこれはどういう意味だってやる。
その服装が何かを意味している。

小林:
うん。

大谷:
一揆をするときに非人の格好をするとかね。
それは普段着ているものとは違う格好をわざとして、
みんなそれに合わせて一揆をする。

これはどういうことかというと、
そういう格好をすることで
自分たちが絶対にそれをやりとげる意志を持つみたいな。
それは格好がそうだからっていう。外見。衣装。

絵巻の端っこに描かれている人がどんなことを考えていたかなんてことは
どこにも書いてないから、
そういうものの見方をせざるを得ないんだろうけど、
衣装がそうだっていうところからしか読み取ってなくて。
そういうすごい見たまんまの話。

こういう格好の人はきっとこういう立場にあったに違いない
みたいなことでしょ。

それって今生きてる人間に対してするとすごくぎょっとする行為だけど、
でも、ほんとそれだけのことをやっている。

表面的なことしかやらなくても
すごくいろんなことがわかってしまうっていう。
それが面白いなって思う。


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