いつからだろうか、僕は僕が面白いと思うことを僕よりも上手くやる人を見る目が、諦めから望みへと変わっていった。
もともとそんなに妬みは持たない質なのだけど(言い換えれば、向上心や競争心やハングリー精神が希薄)、その代わり僕は諦めてしまう方だった。僕よりも上手い人がいる所に僕がいてもしょうがない。
たぶん僕は僕がそこにいることの重大さを小さく見積もっていたのだろう。
しかしどうだ。よく考えれば、いや考えるまでもなく、自分が面白いと思うことを自分よりも上手くやる人がいたとしたら、僕はそれを面白がることができるのだ。
それだけではない。僕がそれを面白がることが、僕でない誰かが、自分だけではできない、もっと面白いことができるようになることになる。僕が面白いと思うことが僕でない人を介して拡大する。今の僕の周囲には、そういう人が大勢いて、僕はただ「僕のオモシロ」を面白がっているだけなのだけど「僕のオモシロ」は日夜拡大している。
これを幸いと言わずして何を幸いと言うのか。これを豊かと言わずして何を豊かと言うのか。