新はどうやら寒がりだ。今日のように曇って寒い日はそれだけで機嫌が悪い。とても困った顔をしている。ファンヒーターをつけてやるとちょっと落ち着く。
新にとって、9月6日に生まれて以来、一貫して寒くなり続けている。だからきっと、こんな調子でどんどんどんどん寒くなり続けたら一体どうなってしまうのだろうという不安があるのかもしれない。そんなものはないというふうには言い切れない。
僕たちが死を恐れるのは、生まれて以来一貫してどんどんどんどん老い続けていくからではないだろうか。一貫して死に近づいていくからなのではないか。心の持ちようやハイプライスな化粧品で一時的に若返ることができたとしても、基本的な基調として、下部構造として、基礎として、僕たちは一貫して老いていく。
人には、一方向へと常に傾いていること、物事が循環しないことへの恐れというものがあるのではないか。それへの信頼があるのと同じように。
とりあえず、新には、また生まれたときのように暖かくなることは伝えておいた。安心してくれるといいが。